部屋に戻るときに、さっきお世話になったカメラマンに呼ばれた。

「柏木ちゃん、お疲れ様。これ、記念にもらって。すごくいい写真だと思う。」


「ありがとうございます。お疲れ様です。」

「またね」


カメラマンさんは戻っていった。

「いい写真。よく撮れてる。帰ったらさえに見せな。喜ぶから」

「はい。」



レッスンをしてる場所に戻ると、同期が集まってきた。

「おかえり」

「ただいま」

「ゆきりん、お疲れ様」

「ありがとう」


同期と話して、学園リーダー高橋先輩に遅れてすいませんと話す。

「柏木ちゃん、お疲れ様。どうだった?」 

「すごく緊張しました。みなさん、優しかったです。」

「よかったね。」

「ありがとうございます。」


休憩時間に同期のはーちゃんと一緒にいたら、宮澤先輩が来た。

「柏木ちゃん、お疲れ様。楽しかった?」

「お疲れ様です。凄く緊張しました。」

「よかった。」

「宮澤先輩、カメラマンの方がくれたんです。」

「ピンクの水着かわいいじゃん。みんなに見せてきていい?」

「あっ、はい。」

宮澤先輩は、スキップして先輩たちのところへ駆け寄る。


「柏木ちゃん、ピンク似合うね。かわいい」

先輩方からお褒めの言葉をいただいて。


レッスンは、その後も続いて。

夜まで動いていっぱい汗をかいて。

その後、みんなでお風呂の時間。

実は個室で、入れる貸し切りお風呂があって。

上級生しか使えないって決まりなんだけど、

宮澤先輩が入ろうよって誘ってきて、しかも

高橋先輩に許可も取っていて。


「基本的に優子や陽菜とかカップルかA組しか使えないね。ゆっくり話したかったからさ。」

そう言って、私の背中を流してくれる。

「宮澤先輩の背中を流します」

「さえが先に流すからそのあと流してくれる?」

「わかりました。ありがとうございます。」


体を洗い、二人で湯船に入る。

「柏木ちゃん、肌白いよね。鹿児島のコだからかな。」

「そんなこと関係ないです。」


しばらく沈黙になり、宮澤先輩から言われた。「佐江さ、柏木ちゃんのこと好きなんだよね。好きになっちゃった。」

チュっ。唇にキスをされた。


ビックリして、固まる私に宮澤先輩泣いちゃってて。

「ごめん、気持ち悪いよね。いきなりキスとかして。」

宮澤先輩は立ち上がり、泣きながら逃げようとしたから、先輩の腕を掴んで、

「待ってください。そんなふうに言ってもらえて嬉しかったです。いつも、私のことを気にかけてくれて、優しくしてくれて。すごく嬉しくて。

宮澤先輩と同室になれて、先輩がいてくれて私、幸せです。」


「気持ち悪いって思ってないの?キスしたんだよ?」

「思わないです。ビックリはしてますけど、嫌な気持ちには全くなってないです。」



「ごめんね。」

そのまま、宮澤先輩走っていなくなっちゃって。


寝る時間21時なのに、帰って来なくて。

仕方がないから、優子先輩の部屋をノックしてみたら、佐江先輩そこにいて。


「ほら、柏木ちゃんが佐江を迎えに来たよ」

「でも、佐江嫌な気持ちにさせたもん」

「そんなことないって柏木ちゃん言ってるよ。帰ろうって」

「だって、佐江キスしちゃったもん。」

「大丈夫だから。柏木ちゃん、嫌がってないから戻りな。」

「でも、佐江戻りづらい。柏木ちゃんに好きって言っちゃった。」


「私、全員嫌って気持ちになってないです。嬉しかったです。」

「柏木ちゃんはさ、佐江のことどう思ってる?」

「優しい先輩です。私の味方にいつもなってくれています。」

「恋愛感情になったことある?」

「身近な人を好きとかなったことがないんです。だから、宮澤先輩の気持ちは嬉しいんですけど、恋愛の好きではないかもしれないです。」


「佐江、柏木ちゃん優しいから大丈夫。今まで通りにしてれば、いつも通りに仲良くできるから。佐江が気にし過ぎ」

「でも、だって。」

「柏木ちゃん、佐江のこと嫌いにならないって。だから部屋に戻ろう。」


しぶしぶ先輩は、部屋に戻ってきてくれた。

部屋に戻っても元気がなくて。

「先輩、寝ましょう。」

電気を消したんだけど、

「柏木ちゃん、ほんとにごめんね。」

何度も何度も謝る宮澤先輩の気持ちに答えられない私はなんか申し訳ない気分でいっぱいだった。


翌朝、6時半までにB組は起きて洗濯するのがルールなんだけど、宮澤先輩もう起きていて。

洗濯干しといてくれて。

「宮澤先輩、ありがとうございます。すいません。」

「ううん、気にしないで」

なんか、冷めてる気がする。

そのあとも、午前中は授業だから制服に着替えて行くんだけどあんま話してくれないし。

今までなら、宮澤先輩が結構話しかけてきてくれたから。

すれ違うと柏木ちゃんって話しかけてくれてたし。それがなくて。

なんか寂しい。


お風呂も気づいたらいなくなっていて、

なんか宮澤先輩に私避けられたんかな?

そう思ったら辛くなって。

着替えようとしたけど、涙が止まらなくなって。

そしたら、優子先輩が陽菜先輩と一緒に来ていて。


「柏木ちゃん、どうした?1人?佐江は?」

「一緒じゃないんですか?さっきからずっと部屋にいないし。朝から私、先輩に避けられてる気がして。」


「佐江、多分戸惑ってるのかも。気持ちを伝えて、柏木ちゃん優しいから大丈夫ですって言ってくれたけどさ。どうしようって」


「昼間も2回くらい廊下ですれ違ったのに、柏木ちゃんって話しかけてもくれなくて。どうしよう。嫌われたら。宮澤先輩が同室で私すごく嬉しかったのに。」


ボロボロ涙が止まらなくて。 

「柏木ちゃん、とりあえずお風呂入ろう。

ゆっくり話そうよ」


「すいません」

「とりあえず、佐江は今不安定になってるかもしれないから、今まで通り声はかけてあげて。普通に接すればいいから。

大丈夫。佐江、柏木ちゃんのこと好きになって、自分でも落ち込んでるだけだと思うからさ。」


「はい。ならいいんですけど。

二人って付きあっていて、悩むこととかありますか?」


「学校内は知っていても、グラビアとかのスタッフには話してないから、ヤキモチやいたりするよ。かわいいねとか、仕事上で言われたりしてても。」


「優ちゃんは特にね。」

「陽菜先輩はなんで付き合おうって思ったんですか?」

「優ちゃんにいっぱい告白されて、何度もごめんって断ってきたんだけど、仕事で失敗して落ち込んだときに、一番励ましてそばにいてくれたの優ちゃんでさ。

こんなに好きになってくれる人いないだろうなって思って。いいよって言った。

今は幸せだって思ってる。」


「ラブラブですね。」

「普通だよね」


脱水所で着替えてると、湯船に秋元先輩と入浴していた。

「佐江、柏木ちゃん探してたんだよ。」

「ごめん。」


着替えて、髪を乾かそうとしてると宮澤先輩がドライヤーを持って私の髪を乾かしてくれていた。

「今日、ごめんね。複雑な気持ちになって、顔見れなかった。嫌な気持ちにさせたよね。」

「大丈夫です。嫌われたかと思って。」

「そんなわけないよ。大事だもん。」



二人は仲良く部屋に帰る。


「柏木ちゃんのことは好きだよ。でも、これからも先輩として仲良くしてほしい。」

「もちろんです。宮澤先輩これからもよろしくお願いします。」


よかった。優子はホッとしていた。