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はじめて会った彼女の印象、ボーイッシュ、活発明るくて元気。
中2で転校してきた私は彼女の隣の席に座ることに。
「宮澤佐江、よろしく」
明るくて元気で人懐っこい。
「柏木由紀です。お願いします」
田舎者が東京の学校に転校。
それだけで不安だらけだ。
一人でいる私に彼女は一日ずっと仲間にいれてくれた。
「ゆきちゃん、移動教室だよ」
声をかけてくれて、さえちゃんの周りには友達もたくさんいたから、みんなも輪にいれてくれた。
帰り一人で帰ろうとしたら、さえちゃんはダッシュで走ってきて家どこ?一緒に帰ろうって言ってくれて。
マンションが同じなのがわかり、さえちゃんは家においでって家に入れてくれた。
それから2年。
中学を卒業し、高校生。
「同じ高校に行きたい」
さえちゃんから言ってくれて、私は行きたい学校があって、さえちゃんは正直内申が足りてなくて、だから猛勉強。
でも、奇跡的にさえちゃんも合格して同じ学校に通うことになった。
ちなみに女子高。
その夏、さえちゃんに花火大会2人で行こうと誘われた。
「佐江、由紀のことはじめて会ったときから好きだった。友達の感情じゃなくて恋してた。由紀が好き。ごめん、いきなりこんなこと。」
泣きながら話す佐江ちゃん。
正直びっくりしたけど、佐江ちゃんはいつだって私を助けてくれた。男子に絡まれたときも、一人でいるときも。
それがすごく嬉しくて、佐江ちゃんといる時間って安心してホッとしていた。
だから、突き放したくないって思った。
私は佐江ちゃんを抱きしめた。
「さえちゃんありがとう。好きって言ってくれて。私、さえちゃんにいっぱい助けてもらって支えてもらった。さえちゃんがいなかったら、無理だったこといっぱいある。
私もさえちゃんのことは好き。
ただ、さえちゃんが思ってくれてる感情と私の感情はちょっと違うかもしれない。
それでも、私のそばにいてくれる?」
涙をボロボロ流しながら、
「もしかしたら、由紀に拒否されるかもって思ってたから、ずっと心にしまってた。気持ち悪いって思ってない?」
「思ってないよ。嬉しいもん」
「ありがとう」
それから、さえちゃんは私に気を遣っていた。
嫌われないかなって多分気にしてたのかも。
だから、私からいっぱい誘った。
一番私のそばにいて一番助けてくれて、隣にいたい人だから。
なるだけスキンシップもとるようにしていた。私から手をつないでみたり、後ろからギューってしてみたり。
さえちゃんはびっくりしていたけど、とにかく離れられたくなかった。
高校でも同じクラスで、席は自由だったから隣の席にいて、さえちゃんは日に日に私から距離をおいていた。
理由がわからなくて、さえちゃん家に押しかけた。
「由紀はさ、さえが好きって知ってスキンシップいっぱいしてくれるけど、遊んでるの?由紀の気持ちがわからないから、さえは辛い」
「私もさえちゃんが好き。だから、離れたくなくてさえちゃん嬉しいかなって思って。」
「さえのこと本気で好きならキスしてほしい。」
さえちゃんにキスをしようと、距離3cm。
急に突き放された。
「ごめん、無理矢理させようとした。忘れて」
それから、さえちゃん学校に来なくなった。
毎日さえちゃんの家に行ったけど、さえちゃん出てくれなくて。
1週間が経った。
そんなとき、一人で帰ろうとマンションの前近くにきたときに、よその高校生から絡まれた。
いつもなら、さえちゃんが助けてくれた。
「さえちゃんたすけて。」
慌ててLINE。
電話もしたけど、出てくれない。
そんなときに思い浮かべるのはさえちゃんしかいない。
さえちゃん。
体を触られた。
涙でぐしゃぐしゃで、怖くて。
そんなとき、さえちゃんから電話。
「どうしたの?」
「さえちゃん。わー」
私は大号泣した。
乱れた姿で、さえちゃんの家に入る。
ワイシャツのボタン2個がなくなって、下着がやや見えている。さえちゃんは私を抱きしめてくれた。
落ち着いたときにさっきの話をした。
「男の子たちに体を触られた。
私、さえちゃんじゃなきゃ嫌。さえちゃんがいい。さえちゃんが好き」
涙を流したながら思いを話した。
「触られた以外に何かされてないの?」
「うん。」
「私は、さえちゃん以外の人に触られたくない」
「由紀」
「さえちゃん、私のお母さん帰り遅いからまださえちゃん家いちゃだめかな?このまま一人でいるの怖い。」
「さえが由紀の家に行っていい?由紀一回着替えたほうがいいよ」
「うん」
私の家に入ったさえちゃん。
「着替えてきなよ?」
「うん。」
ギューってして、私は部屋着に着替えた。
さえちゃんにいっぱいキスをした。
「さえちゃんが大好き」
「さえも由紀が大好き」
少しして、最近の話をさえちゃんに話していたらお母さんが帰ってきて、
「あら?さえちゃん」
「おじゃましてます」
「さえちゃんご飯は?」
「まだです」
「食べていって」
「ありがとうございます」
お母さんに私たちの話をした。
お母さんは、「あなたたちの人生なんだから」って賛成も反対もしなかった。
「由紀と佐江ちゃんがもし、別れを選ぶときに私は2人のメンタルが何より心配」ってお母さんは言った。
たしかにそうかもしれない。先のことはわからない。
けど、今は佐江ちゃんが好き。これからも隣にいるんだ。