作家佐藤愛子さんの著者「私の遺言」は私の永久保存版である。

体験談であるこの本を出版したのは、愛子さん78歳くらいの頃。

年齢的に、今のうちにどうしても書き遺しておきたい、世の人に伝えたいという思いで執筆された。

"遺言"を書いた後、四半世紀も生きるとはご本人も思わなかっただろう。


元々、愛子さんは霊の存在を信じない人だった。

人はしんだらそれでおしまい、という考えの人だった。

それが50代の時、北海道に山荘を建てた頃から霊現象に見舞われ始め、考えを変えざるを得なくなった。

誰がどう見ても霊の仕業としか思えない現象を、家族や周囲の人たちとも共有されているため、読む側も信じざるを得ない。


霊障といえる現象との30年近い"戦い"の中には様々な霊能者、霊媒師、審神者、神職が登場する。

それらの方々の力を借りるしかなかった。

その"見えない敵"の正体とは、愛子さんの先祖や前世に関わる霊、購入した山荘の土地に関わる霊であった。

そこにイタズラ好きの狐霊まで参戦して来て混乱さていた。

ご本人曰く「しつこいタチ」であるので、不可解で納得いかないことに対してトコトン向き合った。


霊が存在する、その恨みなどの念が残っているということは、人は肉体が滅んでも魂(霊)は消えないということだ。

魂が存続するということは生まれ変わりがあるということだ。

なぜ何度も生まれ変わって来るのか。

それは、魂は常に向上を目指しているから。

この世での試練は魂の磨き砂になるから。

私は愛子さんの"遺言"をそのように受け取っている。

元々スピリチュアルなことに関しては、誰に教えられたということもなく、自然に「きっとそういうことなんじゃないか?」と考えていた。

その考えの裏付けをもらったと言えるかも知れない。


愛子さんの直木賞受賞作「戦いすんで日が暮れて」

自身の経験がベースになった小説で、こちらでも戦っている。

戦う対象があると俄然エネルギーが湧き上がるタイプの人だ。

最後は居直るように戦っている。

「えーい、もう、めんどくさい!やってやるよ!!」

という感じ。

私も追い込まれると居直るタイプだから、ちょっと共感してしまうのだ。

そして、この小説のタイトルが好きだ。

「戦いすんで日が暮れて」の言い回しに、結果はどうであれやることはやったという充実感と、これで家に帰ることができるという安堵感を覚える。

この感覚は身に覚えがあるし、これからも経験するだろう。


エッセイも漁るように読ませていただいた。

本人は真面目に怒っていても、切り口が面白い。

面白いことを書いてウケようという意図がないから面白い。

エッセイのネタによく登場した「もったいない病」については"同病相憐れむ"で、これも愛子さんとの共通点だ。


振り返れば高校生の時、学校の図書室で「佐藤愛子」の名前を見た。

誰だっけ?

コバルトシリーズにあるような少女向けの小説を書く人だっけ?

という認識しかなかった。(違ってるけど)

図書室の棚には「娘と私シリーズ」が並んでいるのが目についた。

ああ、仲良し母娘のご自慢エッセイね、そういうの要らん。

と、その時は勝手に思い込み、本を手に取ることすらしなかった。

あれから幾年月。。。

高校時代の思い込み違いを知る時が来る。


エッセイ「娘と私シリーズ」の娘は響子さん。

人気ブロガーであり、今や人気YouTuberだ。

「戦いすんで日が暮れて」での元夫が作った借金との戦いの時も、「私の遺言」での霊障との戦いの時も、ずっと愛子さんに伴走してきた人だ。

多感な年の頃は、エッセイのネタにされるのが嫌だったという。


響子さんの文章は母愛子さんとは別の面白さがある。

あの愛子さんに育てられたからこその面白さと、響子さん独自の感性によるものと。

くだらないと思われるようなことにも興味を持って追求する感性。

それ追求して何の足しになるの?ということを敢えてやる頭の柔軟さ、そして文章力。

見習いたくなる。

好奇心旺盛なところは愛子さん由来か?


ブログを始めたのは響子さんの影響だった。

初めに設定した趣旨から逸れまくり状態で、途中からは石活が登場し始めるが、思えば石の趣味に入る最初のきっかけは響子さんだったかも知れない。

ご主人が宝石関係の仕事をされているせいか、

響子さんの、ある年ある日のブログ 

「(東京)ミネラルショーに行って来ました」

私:ミネラルショー?何それ?

響子さん、翌年

「今年もミネラルショーに行って来ました」

私:ふ〜ん。何か知らんけどまた行ったのね。

響子さん、翌々年

「ミネラルショーで"砂漠のバラ"を買いました」

私:何それ?でもミネラルショーって毎年あるんだ。(←やっと認識し出す)

響子さん、さらに次の年

「今年は恐竜のう◯この化石を買ってみました」

私:(ようやく)ミネラルショー、楽しそう。


熱しにくく冷めにくいのが私。

他の石系YouTuberの影響も受けて、池袋で毎年12月に開催される東京ミネラルショーは2022年から連続して行っている。

響子さんがご主人と開催した「あの世のお話会」に参加した時には水晶玉(12mm)をお土産にいただいた。

今も我がミニミニ博物館の水晶コーナーに収蔵している。




響子さんは2025年1月からYouTubeで、北海道から始まった霊現象のことや霊的な不思議を語っている。

愛子さんの著者で読んてきたことが映像や画像をもって語られ、また娘さん目線で説明されることで、さらに納得できたり、読んだ当時の感想が回収されたりと、とても意義深いチャンネルだと思う。


現在、響子さんのYouTubeチャンネルは一旦休止中の状態だけれど、5月3日には、愛子さん、響子さん、響子さんの娘さんの三世代による共著出版イベントの告知動画が上がっていた。

その動画内で愛子さんのことは何も伝えていなかった。

響子さんは顔面麻痺になっているとのことで、動画には登場しなかった。

愛子さんのことはまだニュース報道されていないので、顔面麻痺を軽く捉えていたけれど、そういうことだったんだ。。。

生まれてからほとんど愛子さんの傍にいた響子さん。

結婚しても子どもを持っても。

響子さんは「佐藤愛子の娘」という職業の人なんじゃないかと思えた。

そんな響子さん、覚悟はできていたとしても、その心情は察するに余りあり過ぎて上手い言葉が出て来ない。


今頃、愛子さんは父佐藤紅緑さんや異母兄サトウハチローさんに会えただろうか。

仲良しの遠藤周作さんには会えただろうか。

先に行っている人達から何て声をかけられただろか。

そちらの世界は、愛子さんが霊体験から想像していた通りだっただろうか。