髪にはホトホト悩まされてきた。
剛毛、多毛、縮毛の三重苦を抱えて生きてきた。

ヘアスタイルが決まらないことおびただしい。 

美容院に行っても仕上がりに満足して出て来れたためしがない。

 風になびくサラサラのロングヘア、どんなに憧れても無理。

風で癖っ毛絡まるだけ。

ボサボサになるだけ。


快活なショートヘアも無理。

三重苦のせいでボリュームが出過ぎて「お釜でもかぶってるの?」状態になる。

洗髪して、しっかり乾かさずに寝てしまおうものなら翌朝は爆発だ。

ドリフのコントじゃないんだから。。。

髪の長さに関わらず、雨で湿気を含めば爆発、汗をかけば爆発。


加えて前髪の一部分の流れがおかしい。

一部の毛髪が逆方向(頭頂部)に向かって生えているため、その部分だけがペーンと跳ねてしまう。

前髪をきれいに下ろすことができないのだ。

何をやっても決まらない髪、自分の手に負えない髪、美容師泣かせの髪。

悩まされるというより、もはや憎んできた。

そしてある時、縮毛矯正が登場した。
ストレートパーマの、あの板の重さに耐えたのは何だったんだ!というくらい画期的な技術ではあった。

ウネウネした毛髪がピシッと真っ直ぐになる。

なるけれど融通の利かない真っ直ぐさ。

毛先を少し内側に向けたいと思っても押し通して譲らない真っ直ぐさ。

前髪のペーンとなる部分は下向きに揃えられるようになったが、額のカーブに沿わない真っ直ぐな前髪は簾のよう。


やっぱり天然のストレートヘアとは違うんだ。

根元が伸びてくれば、その伸びた部分は癖っ毛だ。

癖っ毛というのは毛根の先からひん曲がっている。

縮毛矯正は毛根のひん曲がった根性までは矯正できないんだ。

それに縮毛矯正は時間と費用がかかる。

たいがい美容師さんは二人がかりで奮闘だ。

あれこれを考えると縮毛矯正に行くのが億劫にもなる。

それで前髪だけとか、前髪を含む上部だけとかの部分矯正にするようになっていった。

ところで、 年齢とともに髪は痩せる、量も減る。

超極細針金か?と思うような剛毛が、気づくと三分の一の細さになっていた。

手に入れた、細く(矯正で)ストレートな髪。 

部分矯正にして地毛のウェーブを 生かすこともできる。

爆発ヘアの頃、あまり意味のなかったレイヤーカットも効くようになった。

ようやく人並みになれたではないか。

という訳で加齢現象も悪いことばかりじゃなかった。