〝 あの先輩には気をつけなね 〟
〝 女バレキラーだから 〟
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今野 由希奈(こんの ゆきな)。
無事、農業高校に入学。
べつに農業がやりたくて入学したんじゃない。
親から私立は行かせられないって言われて
公立1本であたしの頭でも受かるところ。
それが農業高校。
『俺の友達がおそらく今度そこの高校のバレー部の顧問になるらしいから言っといてやるよ!』
『結構実力のある先生だぞ!』
あまり乗り気ではなかったけど当時、
担任のその一言で後押しされたような感じ。
…騙された。
顧問は違う先生だし、部員数少なすぎて
大会にすら出れてない。
小4から全国を目指すスポ少でバレーを
やっていたあたしにはもう高校生活なんて
終わったも同然だった。
もう後にも先にも地獄だと思い、
結局バレー部に所属することを決心した。
唯一の救いは先輩方がフレンドリーだってこと。そんな先輩から言われたあの一言。
『あの先輩には気をつけなね』
『女バレキラーだから』
あの先輩と言って視線で指していたのは
黒髪で身長は170cm弱くらい。
普段はメガネ、バレーのときはコンタクト。
見るからに爽やか系で面倒見の良さそうな
男子バレー部の外部コーチだった。
聞くところによると、この高校のOBで21歳。
名前は茨木 晶(いばらき あきら)。
大学に通いながらも練習に来ているらしい。
元カノはほとんど女バレ。
もしくは男バレの女マネだって話。
(パッと見そんな感じには見えないんだけどな…)
あくまでも半信半疑だったあたしは
密かに心の中でそう思っていた。