クーカーの怪談 二十四話 『証明』 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

骨董屋のオヤジ
「いらっしゃい。」

常連の客
「こんちは、オヤッサン。
    どうしたんだい?
     難しい顔してるけど、」

オヤジ
 「先代から続く店だけに、奥の方には、まだ開けたことのない箱があってね。
今、引っ張り出してきたんだが、」

誇りだらけの小箱を机に置く。

客「価値がありそうだね。」

オヤジ
「そこなんだよ。
    変なモノが出てきたんだ。」

「ここに
     変じゃないモノ
       があるほうが驚きだけどな。」

オヤジ
「まあな。
    ミガワリ地蔵なんてのも売ったっけな。」
(クーカーの小説 テンイチの公一に出てくる。)

「本当に骨董か、まがい物かわからないからな。」

オヤジ
「うちは、目利きの骨董屋だよ。
     ちゃんと価値があるものを置いてるんだよ、半分は。」

客「半分。」

オヤジ
「そんなことよりこれだよ。」

「うわっ、話 代えた。
       どれどれ、
   桐の箱に入って、紙に包まれて、」

オヤジ
「これだよ。昔の双眼鏡だろうかね。」

「それにしては薄いかな。
    VRゴーグルのような箱形だね。」

オヤジ
「掛けてみていいよ。」

「うれしいけど。
    オヤッサンも試したんだろ?」

オヤジ
「もちろん。」

「どれどれ、えーと、
    真っ暗だね。」

オヤジ
「真っ暗? フタとかは無いよ。」

「オヤッサンの時はどうだった?」

オヤジ
「掛けてないよ。怖いから。
   失明でもしたらかなわんし。」

「ちょっと、さっき もちろん試したって、」

オヤジ
「もちろん試さないの もちろん。」

「やられた。
     おや?遠くに光の点があるね。
    万華鏡ほどキレイでもない。」

オヤジ
「え?やっぱり失明するやつ?」

「えー!」
素早くそれを外した。

オヤジ
「どう?見えてる?」
客の前で手を振る。

「見えてますよ。
   にやけてるオヤッサン。」

オヤジ
「なんだ。双眼鏡の故障か。
   箱の裏に 透視鏡 って書いてあった。
   なんだろね。」

「透視っていえば、ほら、壁の向こうが見えるとか、」

オヤジ
「女の服が透けるとか、」

「買います!」

オヤジ
「でも壊れてるようだよ?」

「このネジがピントじゃないかね?」
グリグリ回してみるが、やっぱり光の点しか見えない。

オヤジ
「たぶんそうだよ、ピントだよ。
    50000でいいよ。」

「いや、まだ、透けるとこみてないし、
 
    アーーッ!」

オヤジ
「なんだ?
    向かいの喫茶店のお姉ちゃんか?
   見えたのか?」

「いま、流れ星が。」

オヤジ
「それって、

    地球が透けてるってこと?」

「すごいよ。
    でも、欲しいのか、要らないのか
     わからなくなってきた。」

オヤジ
「じゃあ、50万で。」

「悩み中に 値上げ!
   それがまた 悩ましい。
   実際に透けてる証明があれば買うけどね。」

オヤジ
「あるよ。
    これを作った人。
 
  この眼鏡かけて車に牽かれた。
  って書いてある。」



「なるほど。


    買った。」





終わり。