「きょ、今日のロケは中止にしないか?」
と、切り出した。
「監督ぅ、なんか理由でも?」
カメラマン亀田は三脚を片付けながら聞く。
「監督、タレントさんと先生が駅に着く頃です。
そろそろ迎えに行かないとですよ。」
若いスタッフ
「そうなんだが、今度の案件。
SNS情報に飛び付いて来てしまったが、デマのような気がしてならないんだ。」
監督
「ですから、それを確かめるロケです。
仕込みでも、ヤラセでもない、
それが人気の
【探Qナイト】じゃないですか。」
スタッフ。
「そうだけど、
なんか恐ろしい予感がするんだよ。
このまま帰れなくなりそうな。」
監督はまた布団にあぐらをかく。
「嫌な予感。
いいっすねぇ、いいっすねぇ。
最近、空振りばかりで視聴者に飽きられてんですよ。
すっかり経費も絞られて、こんなボロ宿に・・」
亀田が部屋を見渡す。
「そ、そうか。
そうだよな。
俺たち、化け物撮りに来てるだもの、嫌な予感が当たる方がいいのかもな。」
監督は、これ以上 料理人の話はせずに、
撮影だけして早く引き上げようにした。