電気を消されては何も見えないのだ。
逆に何かが見えてしまうのではないかと不安がこみ上げてきた。
幽霊と初の御対面になるかもしれない。
その幽霊とは、
我々の夕食になってしまわれた宿泊客のはずだ。
楽しみにきた旅行先で、あの料理人達に、料理されてしまったのだから。
耐えきれない無念だろう。
知らなかったとはいえ、それを食したのは、
我々は呪われるだろう。
しかしだ、
明日は、その立場になっているかも知れない。
ここから逃げよう。
こんな呪いの連鎖を立ちきるのだ。
もちろんテレビの取材なんて取り止めだ。
監督は便座を立ち上った。
その時、
《ギィイ、イ、イ》
トイレに誰か入ってきたようだ。