廊下でナタを振り上げているかも知れないのだ。
「若旦那様、どうでしたか?」
さっきの料理人の声だ。
誰か仲間が増えたようだ。
三人を相手にここから逃げ切れるだろうか?
若旦那とはどんな男だ。
ヒョロヒョロの男ならいいが、山奥暮らしのたくましい男を想像しておいたほうがよさそうだ。
会話が聞こえる。
「昨日は3つも捕れて良かったな。
お供えは山のオオカミ様も喜んでくれたようだ。」
若旦那
「それはそれは。
さぁ、お茶でも。」
料理人
「ありがとう。
明日の煮込みはどうだね?」
若旦那
「えぇ、柔らかくできました。
やはり新鮮な肉に感謝ですね。」
料理人
「そうだね。
やはり最新のワナはいい。
この分なら肉には困らないだろう。」
これを聞いて監督は震えた。
SNS、ワナ。
肉。
手洗いの鏡の自分を見た。
中年の肉の塊が写っているじゃないか。