「いないのか。」
いつもならソファーにダイブしてスマホでYouTubeをたしなむところだが、
今日は自分の学習机に向かった。
「英語、英語。これだ!」
英語の教科書は折り目もなくピッチリと閉じていた。
裏表紙に名前を書いた時しか開いてない。
「えーと、
マイ、ネーム、イズ ユウシ。
エム、ワイ、エヌ・・」
ケビン先生の発音を思い出して教科書を書き写す。
「ディス イズ ア、バイシクル。
ちがうな、
ディシィザ バイシクル。かな?」
ケビン先生に聞きたい。
英語の教科書に次々と折り目が付いてゆく。
30分ほど経ったところで
「ミス、ローレン、イズ、チョープリティ。
ミス ローレン アイ ラービュー。 」
「あら、ソファーにいないと思ったら勉強?」
母が後ろにいた。
「ぅわっ!何だよ母ちゃん!」
また顔が真っ赤。
「ミスローレンなんてどこにあるの?」
教科書をなぞる母
「うるせーな、勉強のじゃますんなよっ!」
教科書を閉じる。
「はいはい。
反抗期きたー。ってね。
そろそろご飯よ。」
母は部屋を出た。
「う~ん。わかったよ。」
アイラービューのタイミングで来るなよ。