リアルすぎるVRで、あのガラスの棚も
歯の模型も質感が本物のようだ。
それで先生の頭に吹き出しが出るのだから、軽くパニックってしまう。
「オケ、ユウシ。
ルック ァ ディス」
(よし、ユウシ。
これをみて)字幕
先生は壁に歩いて歯の模型を取ってきた。
カパカパとそれを目の前に見せる。
まるで本物だ。
「ディース イーズ ア トゥースマデル。」
(これは歯の模型です。)
「カモン。」
耳を傾けるジェスチャーの先生
ディス イズ ア トゥースモデル。
カタカナのヒントの字幕と
英文が中に浮く。
「ディス イズ ア トースモデル」
言えた。
「ノ、ノ、ノ、
トゥース。
トゥ、トゥ
トゥース!」
口をとがらせて人差し指を立てる。
春日かよ!
「トゥース!」
春日の真似。
「オー!ベリーグッ!」
先生に誉められた。
春日って
「歯!」って言ってたのか。
次にまた歯の模型を壁際に戻し、
「ザット イズ ア トゥースマデル。」
(あれは、歯の模型です。)字幕
それを繰り返した。
これは、ディス
あれは、ザット
わかってきた。
すると、店の入り口が開いた音がした。
≪コンコンコン≫
ノックだ。
『ソーリー。
ダディズ ラァンチ・・』
(失礼、パパのランチ、ここに置いとくわ。)字幕
若い女性の声。
ゴーグルを右に向けると、
それはそれは美少女が、
僕に
「ハーイ」
ってやった。
多分、ゴーグルから下の顔は真っ赤だ。