それも大声で。
先生の声が聞こえないのは、
テレビとかの画面を見ながらイヤホンで聞いているのかな?
ずいぶん必死な声でソーリーって言ってた。
間違えると怒られるのか?
いや、叩かれるのかもしれない。
すぐに水筒をバッグに突っ込んで、ソファーを立つ。
早くここを出よう。
ギィ。
後ろで昔の治療室のドアが開いた。
ビクッ!
「さあ、僕の番だよ。」
店員の太い声。
「あ、あのー、僕、やっぱり。」
振り向けない。
「大丈夫。
たのしいよぉ。」
店員がゆっくり言う。
何で楽しそうに言わないの?
「ブハァ。
いやぁ、怖くて楽しかった!」
おじさんがハンカチで頭を拭きながら廊下に出てきた。
「怖くて楽しい?」
思わず後ろに振り返ってしまった。
「僕もやってみな。
大冒険だよ。」
おじさんはヘルメットの内側をハンカチで吹いていた。
「え、でも怖いんでしょ?」
ヘルメットが必要な英会話教室ってなんだよー!
絶対に間違えたら叩かれるやつだ!
お客さん、アウトー
とか言ってタイキックとかされるんだ。
「いやあ、とりつかれますねー。」
ヘルメットにファブリーズしているおじさんはニコニコだ。
え、
ホラーなの?