母が社長さんと決めた時間に工場へ着いた。
道沿いの壁をたどるとサイキョウの看板があって、ゲートが開かれている。
プレハブの守衛所に近寄るが誰もいない。
カウンターに電話機があって、内線の番号を押すらしい。
しかし、小学3年生には総務部も営業部も意味がわからない。
こうなると、工場の手前の三階建てのビルに直行した方が早そうだ。
キョロキョロと防犯カメラの前を横切りビルに歩く。
すると、工場から誰かが姿を現す。
シルエットは細い女性のようだ。
彼は
「こんにちはっ。」
と遠くから挨拶した。
彼女は無言で、ススススと滑るように歩き、彼の直前で止まった。
「イラッシャイマセ。
ワタシは案内ロボットのユウドウです。」
「えー、すごーい。
こんにちは、僕はマサキだよ。
社長さんに会いに来たんだよ。」
ツルツルののっぺらぼうの顔に話しかける。
「マサキくんですね、
お待ちして いました。
どうぞ、こちらへー。」
右手をビルに向けて、身体をひねるとビルの玄関へタイヤで走り出したユウドウ。
背中には小さく 遊童 と書いてあった。
「学童保育の童の字だね。
君は子供のロボット?
ロボットの子供 ? 」
「生年月日は、
一年前です。」
ユウドウ
「赤ちゃんじゃん。」
マサキ