UFO工場10 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

学校も、もうすぐ冬休み。
授業は半日でおしまい。

家に帰ると社長の名刺を持って、台所の母の元に行き、工場に行きたいとせがむ。

「社長さんだってお仕事してるのよ。
     子供なんか邪魔にしかならないんだから、あんたも本気にしないの。」

「えー、行ってみないとわからないよ。
     社長が  早く来ないかなー
     って思ってるかもよー。」
息子

「そんなわけない。」
母は焼きそばの準備を始める。

「じゃあさ、行けなくなりました
   って電話してよ。
    待ってると悪いから。」
息子

「もう。
    電話したら諦めるのね?」

「う、うん。」
息子

「ちょうど昼休みかしら、出かける前に連絡しないと。」
手を拭いてスマホから名刺の番号に電話をかける。

経緯を説明して社長さんに変わって頂けるように頭の中で整理する。

3コールで繋がる。

「はい、サイキョウです。」
男性の声だ。

「あの、はじめまして。
    昨日、デンエモンの掃除機売り場で、そちらの社長様に名刺を頂いた松井と申します。
    失礼ですが社長様にお繋ぎいただけますか?」

「あ、お母さんですね。
    あの時の者です。」
男性

「あ、社長様が電話に?」

「ええ、小さい会社なんで。
   坊ちゃんはいつ来られますか?」
社長

「あ、えー、その件ですが、
    お仕事のお邪魔ですのでご遠慮を。」

「邪魔だなんて、とんでもない。
    あの子のような自由な発想を求めていまして。
   お願いですから遊びに来ていただけますか?」
社長

「え、え、まぁ。
     社長様にそう言われますと、はい。」
母は息子を見下ろして言う。

電話を終えて息子に説明した。
「顔だけ出して帰るんですよ。
     お菓子とか出されても頂いたらダメ。
    社長さんは優しいけどお仕事の邪魔だからね。」


「わかってるさぁ。」
ニヤける息子