すぐに調査チームを派遣し、大穴の補修と、消防車を引き上げる。
特に、今後陥没するであろう箇所の補強を最優先とした。
町の半分が、つまり地下が空洞の土地は立ち入り禁止とし、その中の住民は市営住宅へ避難する。
クリスマスパーティーまであと4日。
市長の作業着は大掃除で使用感が出て身体に馴染んでいた。
ヘルメットを片手に土木課のトラックに同乗する。
山のふもとのトンネルの鉄扉。
土木課職員が鍵を解く。
トラックは慎重にトンネルに入り、スロープを下る。
かつての工場跡は、武器こそ無くなっていたが、溶鉱炉や工作機械や鋳造の型などが残っていた。
屋根に傾斜の無い 板の小屋は休憩所だろう。
外の酸素を入れるダクトや、山の中に排気する換気設備。
石炭置き場。
ふいご、ハンマーなども木のラックに置いてある。
その奥に上等な鉄製の小屋があった。
室内は旭日旗があり、その前に立派な椅子とテーブルがある。
見慣れた地上の鉄器工場とは違う空気がある。
ここは、軍の上層部の視察の部屋であった。
この部屋の金庫からは、設計図や製造の成績などの資料が回収されており、市役所に保管されている。
トラックは地下工場を走っている。
車両や荷車用の道がある。
それは、途中から線路が並走し、戦車用の台車が数台残されていた。
遂に大穴の下に近づく。
「ライトを消して、早く。」
助手席の職員があることに気づいた。