鉄の園 20 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

市長と一部の人間は、地下の工場跡に入ることができた。

すぐに調査チームを派遣し、大穴の補修と、消防車を引き上げる。
特に、今後陥没するであろう箇所の補強を最優先とした。

町の半分が、つまり地下が空洞の土地は立ち入り禁止とし、その中の住民は市営住宅へ避難する。



クリスマスパーティーまであと4日。

市長の作業着は大掃除で使用感が出て身体に馴染んでいた。

ヘルメットを片手に土木課のトラックに同乗する。

山のふもとのトンネルの鉄扉。
土木課職員が鍵を解く。

トラックは慎重にトンネルに入り、スロープを下る。

かつての工場跡は、武器こそ無くなっていたが、溶鉱炉や工作機械や鋳造の型などが残っていた。

屋根に傾斜の無い 板の小屋は休憩所だろう。

外の酸素を入れるダクトや、山の中に排気する換気設備。
石炭置き場。
ふいご、ハンマーなども木のラックに置いてある。

その奥に上等な鉄製の小屋があった。
室内は旭日旗があり、その前に立派な椅子とテーブルがある。

見慣れた地上の鉄器工場とは違う空気がある。

ここは、軍の上層部の視察の部屋であった。

この部屋の金庫からは、設計図や製造の成績などの資料が回収されており、市役所に保管されている。

トラックは地下工場を走っている。
車両や荷車用の道がある。

それは、途中から線路が並走し、戦車用の台車が数台残されていた。

遂に大穴の下に近づく。

「ライトを消して、早く。」
助手席の職員があることに気づいた。