鉄の園 6 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

階段を戻ってくると、隣の部屋の戸が開いて、さっきのメガネちゃんが顔を出す。

「こんばんは、あのぅ、
    こちらの地元の方ですか?」
と尋ね、またメモ張を手にしている。

「いや、ここには駅の現場調査の仕事で」

「そうですよね、ジモピー(地元人)が泊まる訳ないですよね。

   え、え?
   駅の調査ってあの駅のことですか?」
と声が高くなった。

「そう、すぐそこの。」
廃線マニアなのか、女子がテンションが上がるものではない。

「ちょっ、ちょっと来て」
と部屋の中の友達に手招きしている。

「こんばんは初めまして、私たちもあの駅の歴史を調べる為に来ましたぁ。」
とポニーテールの子が言う。

「そうですか、大学生さん?」

「いえ、高校生です。」
もう一人いた。
背の小さい三つ編みの子

「調査ってやっぱり、壊すんですか?」
寂しそうに言うメガネちゃん。

「うーん、今は半々というところなんだ。
    文化財でもあるが維持費がかかるみたいでね。
   土地の有効活用をするとすれば公園になったり住宅になったり。
    
   そうなると、跡地の石碑だけになるかもしれませんね。」

「あのぅ、存続させるには市長に頼めばいいのですか?」
三つ編みちゃん

「そうだね、鉄道会社は消滅して、市の文化財だからね。
   明日も朝から駅舎に入るから一緒に行くかい?
   中には入れるか、許可をとらなくてはだけど、行くだけ行ってみる?」
青年は研究の手助けになれば
と思った。

「本当ですか!」
「入れなくても絶対行きます。」
「よろしくお願いします。」

「うん、じゃあ明日。7時ね。」
彼は自分の部屋にもどる。

女子高校生たちは
「やった、マジで」
「カメラのメモリーカード買ってくる。」
などとはしゃいでいた。