傾いた日は夕焼けとなり、待合室の波ガラスから差してくる。
ポスターの錆びた画ビョウは、鈍くベッコウのように反射した。
あの蜘蛛の巣さえ、絹糸のように輝く。
待合室の吹きだまりの落ち葉がくるっと2回転した。
駅事務所は廃業から時間が止まったままだ。
日誌や切符、各種スタンプ。
駅名のスタンプは定期券に使われたのだろう。
歴史的価値はあるだろう。
マニアにはたまらないアイテムである。
駅舎から出てホームを歩く。
単線の線路で、ホームの端には鉄の棒のモニュメントらしきものが見える。
近づくと、これはタブレットという電車の通行手形を受けとるものだった。
ホームの端の階段を降りて、その先の信号所に入る。
こちらは、戸の下に穴が開いて、中にはタヌキと思われる動物の骨があった。
ポイントを切り換えるレバーがある。
ストッパーをにぎりながら引くと、ポイントが変わるのだが、もう動かすことも出来ないくらいサビていた。