余命 24時間 38 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

「おいっ、バスを出せ。」
そう言うとバスから降りてゲートを開ける犯人。

バスが整備工場を出る。

犯人は足を引きずりバスに乗り込むと包丁で行き先を指した。

「あの酔っぱらい、
      今度会ったらただじゃおかねぇ。

   大通りは避けろ。
     裏道で行くんだ。」


「はい。」
運転手はバスの巨体を細道に滑り込ませる。

犯人が焦る理由がわかった。
大通りで検問が始まっている。


このまま行くと、あのお寺だ。


そしてお寺の下に来るとバスを止めさせた。

犯人はバスの降り口から半身を出すと石段を見上げた。
「あの野郎、居ないようだな。」


(居たら殺されてた。
 クソ坊主に感謝します。)

荒俣は通路に顔を出して前方の犯人の後ろ姿を見ている。

すると、フロントガラスの外に、歩道をお寺に歩いてくる若い女性がいた。

(あ、あの子。知ってる気がする。)

そして彼女と二人でバスに轢かれる映像が頭に浮かぶ。

(はっ!
  なんだ今のリアルなシーンは、予知夢みたいなものか。
だとしたら、俺はここで‥‥)


「もういい、出せ。」
降り口を閉めてバスが走り出す。



(ここを離れるようだ。
  よかった。予知夢ならハズレだ。)
変な汗をかき、心臓がバクバクしている荒俣。