余命 24時間 34 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

早朝の街を走るコミュニティーバス。

回送の表示で乗客がいるのはおかしい。

男はカーテンを閉めさせた。
乗客は自分の横のカーテンを閉めたが、人がいない後部座席は女子高生の二人が任命され、閉めに来た。

女子高生は椅子の隙間に挟まっている荒俣を見つけたが、
すぐに荒俣にシーっとポーズをされ、頷いた。

この人に賭けることにしたようだ。

かといって何の作戦もない荒俣。
下手に動かない。
それが今は利口だろう。

カバンの中をあさってタブレット端末を見つけた。
メールができるはずだ。

いや、これは起動時に音がしてしまうのだ。
静かな車内で、他のケータイは電源を切られている。

存在がバレてしまう。

≪ゥワァン、ゥワァン、ゥワァゥ≫
サイレンを鳴らしたパトカーとすれ違う。

回送バスには目もくれない。

カーテンの隙間からパトカーを覗いて笑う男。

このまま走る訳にいかなくなった。
もう1台のコミュニティーバスに追い付いてしまうからだ。

2台のバスは30分置きに発車し、循環している。

「止めろ。」
運転手に言う。

バス停でもない路上でハザードを出して停める。

「あ、あのう、トイレに」
おばさんの1人。

「交代で行かせてやる。
  そっちのおばさんはここに座れ。」

そのおばさんはイケメンの隣に座る。

「行ってらっしゃい。
手を振る余裕があるようだ。

バスを降りて公衆トイレに向かうおばさん。

5分ごとにおばさんが交代して済ませた。

女子高生も交代にトイレに行った。

「あ、僕もトイレ休憩。」
サラリーマンが手を上げる。

あのアホなサラリーマンとセットなら荒俣もトイレに行けたのだが。


「ぅおぅ、連れション現象か。
   ここは我慢するしかない。」
荒俣はうずくまる。