余命 24時間 21 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

キャッシュカードが無くてはATMがあっても引き出せない。

所持金は小銭だけ。

いま強盗をすれば真犯人のせいにできないか?
顔だけ隠して。
模倣犯の気持ちがわかる。

そんな度胸があれば会社をズル休みなんかしない。

「ここから、駅前までバスが出ているのか、
   どこまででも150円。安いな。

   えーと、帰りのバス代は残さないと家の近くのバス停まではけっこうあるからな。

   すると残りは、110円
    ‥‥‥150円って高ぇよっ!」

交通カードにはチャージした2000円はあった。
それも、自宅の新しい財布の中。

「寺に戻って人目を避けよう。歩くか。」

とぼとぼ田んぼにできた大通りを歩く。

≪ブワァーーン≫
車道をコミュニティバスがかっ飛ばす。

「早っ。」
あれなら駅前まですぐだ。

パトカーのいない裏道を通ってお寺に戻ってきた。

しばらく本堂の横で時間つぶしだ。




やることがない。



暇すぎる。



遺書の続きも飽きる。


「お、ナナフシか。珍しい。」
ツンツン。本当に枝みたいだな。

年寄りの参拝客だ。
本堂の裏に隠れることにした。

「お、ダメだ蛇がいる!」

あわてて隣の林に入ると木のふりをする。
ナナフシがそれを見ている。



「何をさせるんだ。
   真犯人が捕まったら蹴り飛ばしてやろ。」


年寄りは視力が弱くて助かった。

その後に賽銭箱の前から五百円を拾った。



「もう、疲れました。」

そろそろ人が少なくなるだろう。

石段を下る。