所持金が少なすぎる。
数名並んでいたが、ようやく自分の番になった。
ここで財布を出し、
キャッシュカードが無いことに気付いた。
(そうだ、この前、
新しい財布を買って、カード類を移したんだ。
ついクセでいつもの財布を持って出掛けてしまった。)
カード類の一切無い財布。
今思うとふにゃふにゃで軽い。
やることもなくそこを空け渡した。
所持金が本当に帰る為のバス代ギリギリしかない。
あの時パンを2つ買っていたら、ここから数キロも歩くことになっていた。
ついているのか、いないのか。
昼時のフードコートの匂いの中を、腹をさすりながら出口に向かう。
「……帰ろ。」
風除室の自動ドアから、モアッとする外に出た。
そこにはバス停があって、駅と往復しているコミュニティバスがあった。
停留所の表にさっきのお寺付近のバス停がある。
違う会社なので同じバス停ではないが、ここから150円の区間だ。
あと150円
あと百円と五十円玉が余計にあれば、
歩かなくて済むのに。
歩きで2キロ戻る。