クーカーの怪談 十話目です。
百話を全部読み終えた瞬間、
あなたの腹が
‘ よじれる ’
ほど笑えるようがんばります!
第十話をどうぞ。
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彼と初めてのデートは、遊園地でした。
絶叫マシンを次々と乗る彼、私も嫌いではないですが、さすがに少し疲れました。
それでも彼は、次のジェットコースター「キリキリ舞」へ歩いていました。
『お化け屋敷』 Nさん (35)
彼は初デートで緊張しているのか会話も弾みません。
私は、お化け屋敷を見つけました。
彼も気付いていたはずです。
「Nさんは何か趣味とか無いの?」
急に彼が話を振ってきました。
そして、少し早歩きでお化け屋敷の前を通りすぎようとしています。
もしかして
と思いました。
「あっお化け屋敷だ!」
私は、入り口に駆け寄ると彼もついてきます。
「ふーん。」
彼は入り口の生首を眺めています。
「ちょっと怖そうじゃない?」
彼の反応を伺いました。
「そうかな。 作り物感 丸出しだよ。」
確かに生首は発泡スチロール感が丸見えです。
彼は余裕の表情で入り口を進んで行きます。
私は、彼の後をついていきます。
もちろん、キャーとしがみつくつもりです。
暗い通路
右に、左にお化けや血まみれの人形が飛び出してきます。
「おうっ、あはは。」
彼は人形に見入っています。
「キャー~」「うひぃ」
私は、驚きながら彼の後ろを歩きます。
彼がお化け屋敷が苦手だと思ったのは勘違いだったようです。
私は、損した気分でした。
中程までくると、
彼が右足をゆっくり出して進んでいるのです。
よく見ていると
センサーを探しているのです。
通路をキョロキョロ、天井をキョロキョロ
なるほど、センサーにかかるとお化けが飛び出す仕組みでした。
最後の最後のセンサーを彼は見つけたようです。
しかし、
飛び出してくるであろう お化け が見当たりません。
彼は慎重に
右足を
センサーにかけました。
ビガビガ
ライトがフラッシュ
「うわぁぁああ!」
彼は悲鳴をあげました。
私も悲鳴に体が硬直。
しかし、お化けが見当たりません。
もう、出口です。
私は、乱れた髪を直してから出ました。
彼は
「最後のやつリアルだったな!」
と言いました。
「私、見逃しちゃった。」
それは、髪を振り乱した鬼婆だったそうです。