88 扉 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

≪ジィーィ≫
赤い光は激しくなる。
父のシルエットがはっきりと防空壕内に映る。

鉄の匂い。

「ヤバい!敵だ‼」高井

「なにィ?」原島

鉄の扉が焼き切られているのだ。
その閃光だった。

避難していた日本人は奥に固まる。

原島は机や機材を階段の前に運びバリケードを作る。

≪ゴォーン≫
扉に衝撃
かなりの圧力で押されている。

≪ピシッピシ≫
蝶番が吹っ飛ぶ。

≪バビン≫
遂に父の前に扉が倒れた。

銀色の大きな固まりが扉を突き破った。
自動車のボンネット?

いや、
偵察機の機首だ。

父はその場に伏せた。

サーチライトが点灯し、防空壕を照らす。

片隅の避難者と、立ち尽くす橋野。

「もう、だめだ。俺達。」橋野

「仏様」老婆
「この子だけは」ママ

皆、絶望した。


二人以外は。



「遂にあの作戦に移るか。」高井
「だな。」原島