「リーダー、さっきからラジオにノイズが乗るんですよね。」学生
中国語の放送を聞くために小音量で付けている。
「俺も気になっていた。」原島
「首輪かもしれないね。
首輪とリモコンを持って出てみるよ。」
高井さんは外に出た。
しばらくして戻る。
「どう?」高井
「いや、あんまり変わりませんでした。」
学生
「なんだろうな?」原島
俺はラジオのアンテナを動かしてみた。
≪ズ,ズ…ズ スー≫
アンテナの先が、ある方向を指す。
そこにはフエさんのお父さんの後ろ姿がある。
「何‼」
原島さんがサッと立ち上がると、学生も高井さんも緊張した。
「ん?」
お父さんも振り返った。
「ブーツだ。ブーツを脱がせろ。」原島
フエさんが伝えると、父は抵抗もなくブーツを脱いだ。
原島さんはブーツの底を見て、銀色のピンを見つけた。
「ナイフ。」
原島さんは学生を見ずに手を出した。
手術のシーンのように、学生がナイフを手渡す。
原島さんはピンを残すように、かかとのゴムを切る。
「リーダー、わかるだろ。」原島
「発信器だ。」高井