61 泣き声 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

「吉岡が帰ってきました。」
若者の1人がモニターを見ながら言う。

モニターには、別の若者のアップの顔が映る。

入り口にカメラがあったのだ。
吉岡君がカメラを見て三回瞬きをする。

画像が写真ではなく生身の証拠だ。

そういえば俺を連れて来た彼も、杉の幹に向かってやっていた。
カメラはそこだろう。

入ってきた吉岡君は食料を持って来た。
スーパーの袋に缶詰めとカップラーメン、それと粉ミルクと薬や包帯など。

敵の目を避けて仕入れたのはすごい。


IHコンロや電気ポットが活躍する。

自家発電は近くの小川の水流で水車を回す発電で、ソーラーではない。
24時間発電だ。

食事を頂く。


隣で赤ん坊が力一杯鳴いている。

戦時中の防空壕なら声が漏れてしまうので、悲惨なことに発展していたはず。

今は内壁に特殊ウレタンを吹き付けて防音してある。
偵察機の熱線カメラからも守られている。

老婆が赤ん坊を見守りながらラーメンをすする。

老婆は突然背を向けると肩が上下に揺れた。


昔に同じ状況があったのだろうか?

ウレタンに埋もれた昔の内壁は知っているはずだ。