市営グラウンドが遠くに見える。
小高い山の小さな社に着いた。
この山に登る前に若者からボディチェックを受けた。
お互いに信用していないから仕方ない。
俺の持ち物は、
ポケットから出てきた飴玉が一つ。
一応、発信器の類いではないか確かめるそうでアスファルトの上で割ってきた。
フエさん達は無事だろうか?
あまり管理されていない社だ。
科学の時代に人々の信心が薄れている証拠か。
社の屋根にアンテナがある。
なんとも似合わない絵だ。
テレビのアンテナより大きい。
そのアンテナからケーブルが伸びていて、それを伝いながら獣道を歩いている。
「もうすぐだから、おじさん頑張って。」
若者に励まされながら歩く。
何がもうすぐなんだ?
気が付くとケーブルは地中に埋めたらしく見当たらなくなっていた。
もしかして。
「おじさん。
この防空壕が俺たちの隠れ家だ。」
「防空壕とは準備が良すぎないか?」
「何言ってんだよ。
世界大戦の時の防空壕だよ。」
「なるほど、大昔のか。」