54 持ち主 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

さっきいた場所から見えた景色を思い出してみる。

観客席の上の簡易な屋根に漢字の垂れ幕があったな。

向かい側にはハングル文字が見えていた。

あの辺だろう。

彼が起きてパニックにならないうちに返さなくては。

垂れ幕の下に来て、あの身分証の顔を捜す。

あの水筒…そうだ、彼だ。

持ち主を見つけた。

ベンチとベンチの間を人を避けながら近づいていく。

あと数メートルだ。


≪フ、スス≫
何が起きたかわからないうちにベンチに座らせられた。

突然、座っていた男に羽交い締めされ、首を掴まれてベンチに引っ張られた。

声も出せなかった。

「お前、日本人だな。」

男に耳元で言われた。


違う。の中国語知らない。