52 敵陣で | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

ゆっくりフォーを味わってはいられない。
お椀を水を張ったポリバケツに投げ、とぼとぼと歩調を合わせて去る。

なるべく人を避け、観客席の隅に座る。

周りにはクタクタの兵士がベンチに横になり、仮眠をしている。

俺も座りながら体を丸めて寝たふりをしている。

目ん玉だけはフル稼働だ。

まず、兵士の装備…

銃や刀類は持っていない、腰には小さなリモコンのような物を下げている。

あの首輪を遠隔で締め付けるリモコンだ。

カバーがあって、寝返りをうっても誤作動はない。

寝返りに邪魔な水筒とポーチがベンチの下に置いてある。

ぶつかったふりをして、隣で寝ている兵士の肩を叩いた。

……あ。
もし、起きてしまったら…

シェイシェイか?
ニィハオ?

今さら焦ったがもう叩いてしまった。
顔を反らすしかない。


起きない。

良かった。

さっと、彼のポーチを頂いた。

また猿のように走って隅に逃げる。