未来少年コフィ 50終 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

4日後

映画館のリニューアルが終わった。

この期間を臨時休業したため、常連客は待ちぼうけをくらったが、それは期待に変わっていた。

改装におじさんも満足な出来。

おばさんは腰に当てるクッションを作っていた。
長時間座って疲れないように。

カーペットを敷いてスリッパを貸し出した。

常連客用のマイスリッパ、マイクッションボックスを設置。
ボックス使用料を戴いたが割引クーポンを配ると、以前の二倍通ってくれた。

結果的に常連客が増えた。

高齢者の憩いの場になっている。

待合室を作ってせんべいを売った。
お茶はサービスだ。

高齢者と若い常連客も混ざって映画批評や相談事まで飛び交うようになった。

若者が高齢者の車椅子を押してスロープを下っていく景色は微笑ましい。



ある日の閉館後

おじさんは命の続く限りこの映画館を続けると言った。

「ただなぁ…心残りがひとつ。」
おじさん

「何でも言って下さいよ」


「これは無理だよ。
このスクリーンで3D映画を一回映したかったなぁ。」

「それなら。
コフィ来て。」
コフィはカーペットに掃除機をかけている。
表にはまだ出していない。

「あれを映し出してやって」

「はい。社長の挨拶でいいでしょうか?」

「うん頼む。
おじさん、見てて」





「このたびは我が社のアビーノイドをお買い上げ下さいまして、ありがとうございます。」

この映像を見るのは三回目だ。

おじさんがびっくりしている。

すごいだろう。
今の3D映画の上を行ってる。

おじさんの顔からスクリーンに目を戻した。


「うげっ!」
おじさん以上に驚いた俺


大画面に映っている社長が頭を上げた。
「私、社長の我孫子直志と申します。」




未来少年コフィ 終