未来少年コフィ 34 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

車で病院に来た。

小さな病院である。

自殺未遂に生命保険が下りるかわからないし、事が大きくなるのは避けられる。

ベッドの上に、ひっかき傷がかさぶたになりかけの男性が寝ていた。

若い。30代前半か。
病気ではなく怪我人だから食事に制限は無い。
ゴミ箱にはパンとおにぎりの包装が捨ててある。

「直志(なおし)、起きて。」
おばさんがベッドの横に行き肩を叩く。

「ん、んぅ」
男性が起きる。

「あっ、おはようございます。
内藤と申します。」
大部屋なので小さく挨拶した。

「あ。あなたは?」
男性は俺を覚えてない。

「直志さん。おはようございます。」
コフィ

「あぁ。キミ。
来てくれたんだ、ありがとう。」
男性は飛び起きる。

「はい。」
コフィもベッドの横へ

「あなたはお父さんでしたか。
本当になんとお礼していいやら。」
男性は足と肩を骨折している。
苦痛に耐えながら礼をした。

「あのう。
皆さんは、ご存知なんですよね。
…自ら飛び下りたこと。」
おばさんが小さな声で言う。

「ええ。まぁ」
と答えた。

「警察にいろいろ聞かれたそうね。本当にごめんなさい。」

「それは警察官の仕事ですから。気にしないで下さい。」

「私、言ったんですよ。
川から引き上げて救急車に運んでもらったと息子が言っていると」

「あ。覚えてましたか?」

「はい。
ボク、もう一度腕を触っていいかい?」
男性がコフィを見つめる。

「ボクごめんなさいね。
頭を強く打ちすぎておかしなことを言い出すのよ。
気にしないでね。」
おばさん


「もちろんです。
どうぞ触って下さい。」
コフィが右腕を差し出す。

「やっぱりだ。素晴らしい。」
脈をとるかのようにそっと腕に触ると、突然涙を流した直志さん。