翌日
警察官が訪ねてきた。
「こんにちは。
淵端交番の佐々木と申します。」
「警察?」
何だろう。
コフィは隠れてもらった。
「あっ。内藤まさるさん。
先日は、ありがとうございました。」
「いえ。」
映画館の落とし物を届けた件だな。
「今日は、ぜひお礼が言いたいということで、ご家族の方をお連れしました。」
おばさんが現れて頭を下げた。
「先日は大変お世話になりまして、なんとお礼をしてよいか。
とにかくお礼がしたく、お巡りさんに案内してもらって、押しかけてしまいました。」
おばさんが風呂敷から菓子を差し出した。
「いえ、当然のことをしたまでですから。」
そんな大金が入っていたように見えない財布だったのにな。
免許とか入っていたのかな。
「本当は本人が来てお礼をするべきなんでしょうが、また後日改めて。」
おばさんが何度も頭を下げている。
「いえいえ。
お気持ちだけで結構です。
落ちていた物を拾っただけですから。」
その後
おばさんと警察官が固まった。
よーく話を聞いたら
あの橋から落ちた男性の母親だった。
財布と男性を間違えた俺は、失礼なことを言ってしまったのだ。
しかし、
事情がわかると三人で大笑いした。
男性は元気だそうだ。
これから病院に行くことになった。