「ご主人様。
私の故障した箇所にこの自動四輪車の部品を借りています。
現在、エアバックとクラクションが使えません。
ですからワタクシが運転しましょう。
ご主人様は後部座席へどうぞ。」
ロボットが淡々と話している。
「騙されないぞ」
しかし
クラクションは鳴らなかった。
エアバックは試せない。
「でしたら、部品を戻してご主人様の運転になさいますか?」
次の瞬間に驚かされた。
彼の腹部のパネルを開けるとギッシリ基盤が詰まっていて、該当部品を外して見せている。
明らかにロボットで
中の人は居なかった。
1, このまま逃げて車の部品は後で修理か
2, 彼に運転をさせるか
3, 彼を乗せて自分で運転をするか。
とりあえず車越しにロボットと会話をした。
変な気分だ。
テレビゲームのような、映画の主人公のような。
結論は出た。
ロボットには電源を切ってもらい、家に着いたら俺が電源を入れる。
その条件付きで乗せることにした。
さっそくロボットの太もものカバーを開いて電源スイッチをOFFにした。
《クフン》
5秒で電源が落ちた。
この直立不動ロボットを後部座席へ運ぶ。
「重てぇー」
座らせてから切るのが正確だった。