屋上に走った紫雲、楼射
和尚と華伽も有火馬と重烏に背負われ屋上に着いた。
「偉王汰。
まさか解毒薬を…」
紫雲
「偉王汰。
お前は偉い。」
和尚
「敵を騙すには、まず味方から。」
偉王汰
上空
ジャイロコプターの老子
「ハハハ。ハハハッ。
ワッハッハ」
解毒薬ケースを手に笑いが止まらない老子
《キラン》
明るい月に何かが光った。
「蜘蛛の巣か?」
糸状のそれをたどると
硬いワイヤーだ。
「っう!
なんだ。首に巻き付いてる。」
慌てる老子
ジャイロコプターは高度を上げる。
屋上
「偉王汰。
お前ってやつは。」
重烏が抱きしめる。
「これって、何倍返しかなぁ?」
偉王汰が小さなリモコンを押す《ピコ》
「え?」
一同
突然、屋上に潜入バイクが現れた。
バイクの擬態モードを解除したからだ。
これは、紫雲のしびれ玉による電気ショックで生き返った偉王汰が、潜入スーツを擬態モードにして用意していたのだ。
《ビィィン》
バイクのハンドルにワイヤーが張っている。
《ガチャァン》
バイクが倒れた。
《カーーカーーーー》
バイクはワイヤーに引っ張られて屋上を滑っている。
《カーー。……》
バイクは屋上から落ちて行った。
満月の夜空に、上空から悲鳴が降ってきた。
偉王汰伝 終