偉王汰は、壁のフックから鎖の長さ1,5メートルの半径に動きを制限されてしまう。
正面の男は助走を二歩つけて偉王汰の顔面を殴る。
《バム》
偉王汰の顔面にこぶしの跡が残る。
鉛面だ。
「なるほどな。
変装マスクか。」
男はこぶしをさすって面を覗く。
鉛面を外された。
面の内側のマイクとイヤホンも線をむしられてしまった。
男の二発目
これは右腕で受けた。
しかし、右腕に鎖が巻き付く。
攻防の果てに
ついに四肢に鎖。
反撃しようとすれば鎖を引かれる。
マリオット偉王汰は、サンドバッグと化す。
《バツン》《バツン》
潜入スーツは普段は柔らかいが衝撃が加わると瞬時に硬化する。
(水溶きの小麦粉を叩くと固くなる原理)
忍者兵も汗を浮かべ、新品の革グローブもほつれてきた。
偉王汰は前からの打撃は身体を後ろに反らし、衝撃を逃がしていたが、後半は前後や左右からの同時蹴りを受けた。
偉王汰の吐いた血が胸から下を赤く染めあげる。
「もう殺すか?」
「見せしめにしよう」
「日本で見た
照る照るボウズ。
あれがいい!」
男が壁の穴を指す。
「おもしろい。
ここから吊り下げよう。」
《ジャラジャラ》
偉王汰はテーブルクロスを被され、首に鎖を巻かれている。
「明日、天気になーれ」
「ワハハハ」
穴の前に立たされると
「頼むぜ。
明日は俺、ゴルフだから」
男に背中を蹴飛ばされた。