かつてマンションや低層のビルが並んでいたコンクリートの白っぽい街並みは、一年足らずで緑化し、白を塗りつぶしていた。
青い空 白い雲
眼下には輝く緑
この美しい景色はモニターで見ると、異国のリゾートのようだ。
実際は放射能汚染され、5分といられない。
ナウシカの腐海を思い出した。
グロテスクな動物と聞いて、あの体育館からオームが顔を出したら…
と考えるとモニターを見るのも怖い。
先生はこの町で生まれ育った。
子供の頃は、ここまでではないが緑に溢れていた。
高速道路と地下鉄が延びてくると、開拓に拍車がかかり、山は削られ、田畑は埋められていった。
山郷は人間の巣に変わっていて、白っぽい街は騒音と熱気と薄暗い日陰をつくっていた。
便利さ 清潔さ は良くなった。
ただ、見えるところは綺麗にするが、陰は逆に荒れていた。
地球の怒りか土地の神の仕業か、ここは大雨にみまわれる。
荒れた陰の部分を洗い流しているようだ。
アスファルトは、それを川にして流す。
窪地で被害を受けるのは、以前から住んでいる方々であった。
谷間にある川は、土手をコンクリートに代え大雨を加速させて隣町へ逃がす。
街を縫いながらカクカクと曲がった川は、その急カーブを曲がれずに溢れ出し、土手を越えていくのだった。
その浸水被害が集中する場所は住む人も居なくなり、やがて原発が建つ。
もちろん浸水など受けない設計だ。
断層の検査もしっかりしている。
あの日
強烈な地震が大地を波打たせ、炉と管理棟の間に地割れを起こす。
炉は制御されず
今に至る