胸からマイクを抜いたパイキング。
『あ。あ。
テス、テス、只今マイクのテスト中…』
横で頷いた赤いボンテージ。
『よし、今度こそ、出撃ぃ!』
パイキングの合図で海賊船から板の橋が架けられる。
《ガシャッ》
客船と海賊船が繋がった。
『ゥオッパイパイ』
『パイ~パイパイ』
海賊船の甲板に黒い全身タイツの軍団が湧き出す。
ガイコツのマスク
手には半月形の剣を持つ。
海賊船からブリッジを渡り客船になだれ込んで来る。
『パイパイ~』
「きゃあ!バッグが」
「やめろ!ドロボー。」
客からバッグや財布、アクセサリーまでむしり取る。
「くそぅ許せん!」
明石は、黒タイツの後ろに近寄って肩を引き、振り向かせる。
拳を握り締め、右パンチ
「おりゃあ!」
《ムニ》
なぜだ
弾き返された。
『いやん』
女!
あの感触は……
拳を見つめ、耳まで赤くなる明石
『パイパイパァイ』
他の黒タイツの女に投げ飛ばされ、船の外へ。
「あーーれーー」
落ちる明石
《ザッパァァン》
海面に水柱が立った。