55《野次馬》 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

軽トラを降り家に向かう

取材陣の塊の外側に野次馬が集まっている。

『あのお宅だったの?
おとなしそうな奥さんだと思ってたけどね~ぇ』

『見た目じゃわかんないわよね~ぇ』

『本当よね~ぇ』

バス停のおばさんも来ていた。

さっきはポテトごちそうさま。


家は雨戸が閉まり、静かだった。



山さんの胸ポケットから野次馬を眺める。



俺は背筋が凍った。
そして、ハッキリ思い出したのだ。

『山さん、山さんっ!』

『あーらやだっ。オホホ』
ポテトおばさんの声でかき消される

俺は山さんのネクタイをクイクイクイと引いた。

『うっうっウグッ、
どうしたどうした。』
ネクタイを緩める山さん。



『あのピアスの男。
見えるかい?』
野次馬の1人を指差した。

『あぁ首に入れ墨の?』
わわわ
声デカいよ山さん。
振り返ったじゃん


『あいつだよ。
強盗の1人だ。
俺、思い出したんだよ!』


『何ぃ?本当か。』

睨んじゃだめだよ山さん。
ほら、逃げた。