こちらは、妄想のお部屋です。
BL要素が含まれる場合がありますので、ご注意ください。
落ち着いた声のナレーションが入る。
「黒い翼を持つ者は、悪い人間を見つけ、罰を与える。
その姿は人間には見えない。
この物語の主人公の名前はT1007で、黒い翼を持つ者だ。」
T1007が、地上に降り立った。
「おっと、あそこから黒い臭いがする。」
覗いた建物には、怪しげな男が数人いて、何かの計画を立てているようだ。
T1007は、壁をすり抜けて中に入るが、誰も気がつかない。
偉そうにソファーに座る男の前に立ち、目を覗き込むと、なるほどと言いながら、次の男を覗き込んだ。
「頭の中を調べさせてもらったよ。
人間には、俺は見えないし、俺の声は聞こえないのに、俺はアンタらの頭の中がわかるんだから、面白いよな。」
T1007は、また壁をすり抜けて外に出て、空に飛んで行った。
その後、人間達の麻薬取引をT1007が邪魔していく。
運転手は、車のタイヤがパンクして崖から転落、逃走車が定刻に来なかったせいで、取引現場を警察に抑えられた。
その時、拳銃の撃ち合いになったが、なぜか仲間同士の弾が互いに命中し、別の場所にいたボスは通りすがりの酔っぱらいに絡まれて喧嘩になり、やはり警察官に囲まれた。
悪者達が苦しんでいるのを上から見たT1007が笑いながら飛んでいって、エンドロールが始まった。
「ああ、楽しかったぁ。」
「うん、映画館で観た時も面白かったけど、さすがトーマの原作映画、やっぱり面白いね。」
「じゃあ、このままパート2のドミノエフェクトを観ちゃう?
でも、お昼はどうする?」
「ピザでも頼もうか?」
潤がスマホで注文をしてくれて、思い出した。
「トーマさんと初めて会った時も、ピザだったね。」
「そうだったね。
智とふたりで食べたかったのに、トーマが来たんだ。
智をトーマに取られたら嫌だなって、思ったんだ。」
「え?そうなの?
僕は、トーマさんがかっこいいから、僕なんてって、思ってたんだよ。」
今では、3人で仲良くしてて、僕達が見た夢もトーマさんは小説に取り入れてくれるんだ。
不思議だけど、潤も僕も、空を飛ぶ夢を見ることがあるんだ。