こちらは、妄想のお部屋です。


BL要素が含まれる場合がありますので、ご注意ください。




「それで、車椅子の人を家まで送ってるのを空から見てたら、ちょうど家族が帰ってきて、お礼をしますって言ってるのに、当たり前の事をしただけですって、助けた人は駅に戻っていったんだ。

これは、僕が代わりにお礼をしてあげなくっちゃと思って、その人がいる所まで降りて行くの。

ちょうど信号が赤になって、立ち止まったその人のおでこに手を当てると、なぜかわからないけど、その人の色々な事が頭に流れてきて。」

俺は、智のおでこに手を当ててみた。

「こうすると、その人の情報が入ってくるの?」

智は頷いて、話を続けた。

「僕の姿は誰にも見えないみたいだし、触っても気付かれないの。

その人は、一生懸命に働いているけど、お店の店長が横暴で困ってる事や、かといって仕事を辞めると次の仕事があるのか心配してる。

それと、ひとめぼれをした人がいて、もう一度会いたいと思ってるのがわかったんだ。

だから、ひとめぼれした相手に会わせてあげたら、喜ぶと思ったの。」

「でも、どうやって探すの?」

「うん、それも不思議なの。

空の上の、さらに上の方まで飛んでいくと、綺麗な建物があって、その中にあるパソコンみたいなのに手をかざすと、人助けをしていた人と、ひとめぼれした相手が出会った時の映像が見れたの。」

防犯カメラ的な感じかな?

「それでね、同じ駅の少し離れた所にある飲食店の店長なのがわかったから、また下に降りて、人助けした人に魔法をかけたの。」

「魔法?」

「うん。なんとなくそのお店に食事に行きたくなるように、魔法をかけたの。

ちゃんと行ってくれたよ。

その時は、店の外からひとめぼれした人を見つけて、ビックリして帰ってしまったけど、違う日に食事に行ってた。

なんとなく心配で、ひとめぼれした人の方にも、この人を大切にしてくださいって、念を送っておいた。」

本当に、不思議な夢だ。

「その後、どうなったのかな?」

「その人、ひとめぼれした店長さんのお店で働ける事になったんだよ。

店員さんやまわりの人もいい人ばかりで、幸せになったんだよ。」

智がニコニコしていると、俺も嬉しくなる。

「じゃあ、俺が見た夢の話も聞いて。

空を飛んで、下にいる人を見ると、たまに黒いモヤがかかってる人がいるんだ。

そんな人は、何か悪い事をしている人なんだ。

だから、悪い事を止めさせる必要があるんだ。」

智が首を傾げる。

「悪役をやっつける正義のヒーロー?」

「そんなイメージかな?

それで、真っ黒な人がいて、下に降りて調べようと思った。

真っ黒な人はレストランに入って、事務室みたいな所に入った。

俺は、その人の肩に手をかけて、目を覗きこんだ。」