久しぶりに村上龍を見たら

健康状態がよろしくなさそうな

弱々しい感じに見えて驚いた


快楽主義を自認した活き活きとした人、村上龍


村上龍の小説は不愉快で

初期のエッセイは好き放題

書いてあって

面白おかしく読んでた


自分の考えかたがずっと甘くて

物事を考えるきっかけになった。


純文学なのだろうけど

いつもダーウィニズムをベースにしてて

危機感のない弱者は淘汰されるべきとか

そんなのばかりだった。


それがエッセイにも

転換期に適応できない人は

自覚もないまま落ちていくだけとか

身も蓋もないことを言うようになった。


そこで愛と幻想のファシズムである

(ネタバレになります)


債務不履行を起こして破産した

日本を舞台にする小説


弱者は生きられないんです

何が決めるか?生態系ですとトウジは言う


停滞したままの不自然な日本に

苛立つ主人公、鈴原冬二

いびつな社会で傷を負っているゼロ

2人は政治結社、狩猟社を創り

なにも変えられないままの民主国家を

転覆させ全体主義国家を狙って動く


今現在の日本みたいで既視感があるけど

40年近く前の本


一種のシミュレーション小説なのだが

破綻後の日本を支配するのは

軍産複合体と言われる巨大な資本力を

有するアメリカの企業連合

シャノングループ

武器、金融、農業プラント、製薬などの

バイオテック、全ての産業分野を支配し

経済や権力に絶対的な影響力を行使する


それらを統べる絶対者ジェロームウィッツ


狩猟社の標的は彼を揺さぶり

表に引きずり出すこと


日本のシステムネットワークとともに

巨大な敵にダメージを与える所までの

手段を手にしたあたりで物語は終わる

狩猟家であったトウジは

幻の獲物に手が届くのか


一見、荒唐無稽な話が現実味を帯びていますね


陰謀論のままにしておきたいけれど

どうも違って来ているらしい


インバウンド需要で外貨を稼げてる影で

主だった産業分野を買われてたら

私たちはどう抵抗すればいいのだろう


自分を主体に何を選び取れるのだろう


食や水質の安全性あたりは

今後、無視する事はできないだろうな


村上春樹の小説のほうが救いがあるのに


笑えないはなし