BRICSは、最初、ブラジル、ロシア、インド、中国、の四ヶ国でした。ここに南アフリカが加盟してBRICSは五ヶ国となりました。

2024年1月、エチオピア、エジプト、サウジアラビア、UAE、イランの五カ国が新たに加盟して合計十か国になっています。

日本の報道では「新興国」などと訳されますが、これでは意味がわかりませんね。

むしろBRICSは「資源国」です。十か国の中には石油産出国上位10カ国のうちの6カ国が入ってます。強力な国際資源同盟です。

さらに、BRICSは資源国というばかりでなく、経済規模でもG7を超えてます。世界一の経済圏です。

BRICSに加盟したがる国が少なくありません。正式に加盟申請している国は30カ国もあります。加入を希望している国も合わせれば45カ国以上になります。

ロシアで行われるBRICS2024サミットには97カ国が参加します。世界の半数です。

BRICSの中核はロシアと中国です。この二ヶ国の同盟がどの程度のものか今はわかりません。あっさり壊れるかも知れません。しかし、今のところ対米という観点で共通利害を持っているようです。

ウクライナ戦争を戦っているロシアは、必死の外交でアメリカに対抗しているわけです。そのロシアは、ウクライナで戦う一方、アメリカにダメージを与えるために通貨戦争を仕掛けています。

BRICS圏内の貿易では、ドル決済を放棄して自国通貨で決済するようになっています。ドル基軸通貨体制はすでに終わっています。その分だけ、ドルは弱くなります。当然、アメリカ政府は対抗手段に出て、ドル高を維持します。それが現在のアメリカの高金利です。

さらにBRICSは、ゴールドと仮想通貨を使い、米ドル弱体化を仕掛けています。

米ドルが基軸通貨でなくなると、米ドルが貿易や外貨準備で使われなくなり、米ドルが相対的に弱くなります。その分だけアメリカの国際的な影響力は弱くなります。

これに対抗してアメリカは、政策金利を5.5%と高くしています。そのために経済統計を操作しているようにも見えます。

しかし、そうするとアメリカ国民が物価高で苦しみ、生活できなくなります。アメリカではホームレスが増えていますが、その一因が高金利政策です。

日本円とユーロも米ドルに半分くらい支えられている通貨ですから、弱くなります。

ユーロを強い通貨として保つためにEUはユーロを利上げをしていました。でも、高金利が物価高を生み、ヨーロッパ人の生活が苦しくなりました。それで、さすがのECBも金利を少しだけ下げました。事実上、BRICSに負けたわけです。

日本は、G7のなかでは唯一の低金利国です。米ドルを強くするために、そうさせられてきたのでしょう。まあ、善悪両面あるわけですが、あまりにも円安が進みすぎると困るので、たびたび財務省が為替介入をしているわけです。アメリカはドル高にしたいので、日本の為替介入をあまり歓迎はしていません。

円に対して強いドルも、実は弱くなっています。ゴールドの相場を見ればわかります。少し前まで1オンス1800ドルでしたが、今は1オンス2300ドルです。ドル安です。

円の弱さは際立っており、もはや1ドル400円くらいです。日本はもはや経済小国です。中国人に土地も企業も買いたたかれるわけです。この調子では食糧不足になったとき、買いたたかれてしまい、食料の輸入ができません。

このように見ていくと、昨今の為替の動向が国際政治の反映であることがよくわかります。