終戦直後の尾崎行雄の演説より、政党論。

「それから政党そのものも立憲的とは言えぬのであります。わが国の政党の歴史については、この私

 

は誰よりも詳しく見てきたという自負がある。その私の経験から言うならば、日本人の封建的思想感

 

情がある限り、本当の政党というものはできない。徒党はできます。封建的徒党です。しかし、立憲

 

政治には政党がなければならない。ところがこれが容易ではない。私はすぐ近くで見ておったのでわ

 

かりますが、大隈重信侯爵を戴いてつくった改進党も、板垣退助伯爵を戴いた自由党も、伊藤博文公

 

爵を戴いた政友会の組織にしても、駄目でありました。徒党でした。私はずいぶん奔走して骨折った

 

ものですが、この三党派とも、伊藤がやっても、大隈がやっても、板垣がやっても、どうしても政党

 

にはならなかった。みな徒党になってしまった。それも無理はございません。数百年の間に養い来た

 

った封建的思想感情が一朝一夕にして、あるいは半世紀やそこらで、変わると思い込み、立派な政党

 

がつくれると思いこんだ私が、若気の至り、無知であったのです。できません。どう働いてもでき

 

ぬ。できなかった。すぐ封建的徒党になってしまう。ひとりの親分がいて、たくさんの子分がいる徒

 

党です。それゆえ、党でこう決める、党議でこうと決めれば、善悪正邪を問はず、党員はそれに服従

 

してしまう。だから議会は多数派の天下になって、正理正論が通らない。それは政党が徒党だからで

 

あります。どんなに正しい人でも、党議に拘束せられ、心ならずも党議に服従してしまうのです。党

 

議拘束をするような政党は徒党です。」

「政党は、綱領と政策に基づいて結党され、賛同する政治家が集うべきはずのものであります。選挙

 

資金や利権で結びついた徒党であってはならないはずのものであります。そのことは重々わかってお

 

る。わかっていながら、どうしようもない。大隈、板垣、伊藤といった元老さえ本当の意味での政党

 

をつくれなかった。かく申す私も力足らず、徳望なく、このような無所属議員になりさがっておる。

 

新しい憲法ができましたが、政党の方はあいかわらずの徒党のままである。」



どうでしょう。日本に政党はあるのでしょうか?

自民党も公明党もカルトと利権の徒党です。野党は共産イデオロギーと福祉利権の徒党です。徒党はあっても政党はない。これは日本にとって重要な課題です。