ベンジャミン・スポック著「スポック博士の育児書」は、戦後、アメリカでベストセラーとなり、アメリカの育児事情に多大な影響を与えました。それのみならず、戦後の日本にも翻訳本が出版され、日本の育児や保育に多大な影響を与えたものです。

 

敗戦で自信を失った日本人は日本古来の価値観を疑い、アメリカに依存してしまいました。その結果、このスポック本は市井の父母だけでなく、産婦人科医や看護師にまで強い影響を与えたようです。

 

しかし、その後、この本に書かれている内容は、各種の心理学研究によって否定されました。ローレンツ博士の刷り込み理論やボウルビイ博士の愛着理論などによって、スポック理論の間違いが明らかとなったのです。

 

それにもかかわらず、アメリカでも日本でもしつこく改訂と出版が繰り返されています。これは奇妙な現象ではないでしょうか。アメリカ国内においては様々なスポック批判がある一方、根強くスポック理論を支持する勢力があるようです。日本も同様の事情です。ちなみに日本では以下のように出版が繰り返されています。

 

1946 "The Common Sensse Book of Baby and Child Care" アメリカにて出版
1966 「スポック博士の育児書」 暮らしの手帖社
1970 「スポック博士の現代診断」 紀伊國屋書店
1972 「スポック博士の心身障害児の療育 親のためのアドバイス」 岩崎学術出版社
1975 「スポック博士の性教育」 暮しの手帖社
1977 「スポック博士の家庭教育」 紀伊国屋書店
1977 「スポック博士のしつけ教育」 講談社
1979 「スポック博士の育児相談」 講談社
1979 「スポック博士の父親学」 ごま書房ゴマブックス
1982 「B.スポック博士と谷口祐司先生の育児の質問箱 一問二答のカルテ」 潮出版社
1990 「スポック博士親ってなんだろう」 新潮文庫
1997 「スポック博士の育児書 最新版」 暮しの手帖社

 

「スポック博士の育児書」は、今からみるととんでもないことを主張していました。例えば、
・母乳より人工ミルクの方がよい
・母乳で育てるとおっぱいの形が悪くなる
・肉を食べさせよう
・日本人の座る生活は身体に悪い
・赤ちゃんをオンブしてはいけない
・赤ちゃんに抱き癖をつけてはいけない
・反抗期になったら放っておけば良い
・親にも権利があるから、育児に縛られる必要は無い
・必ず授乳時間を守るべきで、寝ている赤ちゃんを起こして良い
・お母さんはコーヒー、煙草、酒を楽しんで良い
・寝る時間が来たら無理にでも寝かせる
・赤ちゃんが泣いても放っておいて良い
・赤ちゃんが夜中に目を覚ましても、そこに親の姿があってはいけない
・父親は子供の友だちになるべきだ
・親と一緒に寝たがる子は、ネットをかぶせて動けないようにする
・人は国家や家につくす必要は無い

 

私見ながら、スポック博士の育児論は、母子の関係を断絶させ、父子の関係を希薄化させようとしているかのようです。生まれたばかりの子供は何も解っていないから、何をしても構わないという暴論までも書いてありました。しかし、その後の研究によれば、胎児は驚くほどの感受性で周辺環境を認識している事が解っています。スポック理論は不必要なまでに親の人権を重視して、育児放棄を唆しているかのようです。それでいて子供の人権を加重に重視して躾を否定しています。

 

こうしたスポック理論に共産主義の臭いを感じるのは私だけでしょうか。

 

家族の絆を破壊し、徹底して個人化し、共産主義に都合の良い人間を育てようとしているのではないか。だからこそ、心理学研究によって誤りが証明されているにもかかわらず、何度もスポック育児書は改訂されて出版される。背後に何者かが存在しているのではないでしょうか。

 

この事情は、すでに虚偽である事が証明されているにもかかわらず「レイプオブ南京」や「中国の旅」などが出版され続けている事と相通じるように思えます。

 

アグネス・スメドレー、アイリス・チャン、本多勝一、植村隆などの共産主義ジャーナリストに連なってベンジャミン・スポックが存在しているように思えます。