松浦行真著「混迷の知恵 遠すぎた島ガダルカナル」を読みました。

ガダルカナルの攻防戦を描いた戦記小説です。日米双方に視点を移しつつ、出来事の因果関係をわかりやすく描いています。

山本五十六大将や今村均中将はもちろん、キング提督、ニミッツ提督も描かれています。ラバウルの原住民の少年、一木支隊の将兵の留守宅の妻、ガダルカナルの最前線の日米の兵士などが小説的技法で読みやすく描かれています。私は面白く読みました。

知らなかったのですがガダルカナルにはインド兵がいたのです。日本軍がシンガポールを陥落させた後、自由インド軍が組織され、インドの独立を目指していました。その一部がガダルカナルにも出兵していた。そんな意外の事実が書かれています。

ただ、残念なのは基本的な歴史観が極東裁判史観であり、陸軍悪玉論で書かれていることです。辻政信と田中新一がずいぶん悪者として描かれています。一方、アメリカに対する批判はいっさいありません。出版年が昭和59年ですから、当時としてはやむを得なかったのでしょう。

欠点もありますが、読みやすく、ガダルカナル攻防戦の経過と因果が明快に描かれていて良い本だと思います。