追記11/20 意思統一方法についての補足
   11/22 2012年版 「ゲーム開発プロジェクトマネジメント講座」 は
        後日公開される模様です(at カンファレンス)


興味深く読み込んだ魔道士です。こんにちは。

新生FF14プロジェクトは、第4回プロデューサーレターLIVE中に、αテストの模様を中継が可能な程に完成している事をアピールできるまでになりました。

僅か2年の間によくここまで、しかも現行を運営しながら、全く新しい設計に基づいてゲームを作り直しができたものだ、と感心しています。それは、”2ヶ月と2週間” の遅れが生じていたとしても、です。

そうなると、何故このような巨大なプロジェクトの運営が可能だったのか、という事に興味が湧いてきます。

過去にインタビューで、プロジェクトマネジメントについて語っていた事を思い出しました。そのインタビューを、少々長いですが引用します。

4Gamer: 新生FFXIVについて,これまでどのようなアプローチで開発を進めてきたのでしょうか?

吉田氏: これも何度か表明しているのですが,現開発体制では運営も根幹の作り直しも,「事前計画」をとても大事にしています。とくに新生FFXIVにあたる部分は,テクニカルディレクターの橋本の方針により,少なくとも2011年3月までコーディングを禁じていました。僕自身の目指すゲームのデザインと思想を実現するサーバー群およびゲームエンジン,グラフィックスコアの設計が終わるまでは,一切コーディングを進めてはならない,と決めたんです。橋本のマネジメント技術の凄さですね。開発も焦る気持ちを抑えて、本当によく計画や見積もりに協力してくれました。

 3月まで……というか今もですが,ひたすら僕がスタッフに向けてFFXIVの未来のビジョンを話し,仕様を決めていました。例えば「こういうサービスを提供する。だからサーバーの設計は“ワールドレス”でなければならない」と説明し,設計をしてもらい、コストを割り出し,スケジュールを引いていったわけです。
 そして2011年4月以降,計画にゴーサインが出たものから,順次フルコーディングに入っています。最初に設計をし尽くして,ほぼ手戻りのない状態で進行していると言えます。

※2011.10.16付け4Gamer記事 より参照のため抜粋引用


■ゲーム開発プロジェクトマネジメント
この文章の中で、”橋本善久氏のマネジメント技術” が登場しています。さらに、”最初に設計をし尽くして,ほぼ手戻りのない状態で進行” や、”設計をしてもらい、コストを割り出し,スケジュールを引いていった” というような特徴を考えると、どうしても 2011年10月8日に公開された 「ゲーム開発プロジェクトマネジメント講座」 (公式PDF ) に似ている事を感じます。
※この講座のPDFは、283ページに及びます。

実際はどうなのかは分かりませんが、これだけ似ていれば関連性を感じずにはいられないのも確かです。


■コメント
このエントリは何度も書き直しました。講座などの解説をしようとすると、長くなりすぎてしまいますし、しかも致命的なのは、大して面白い話しでもないことです(笑)。

この講座はプロジェクトを進める技術面の話しで、その恩恵もあったのだろうと思いますが、それよりも、吉田直樹という人物だから可能だったとも感じています。その辺りは、私も含めた多くのプレイヤー達が強く感じていることかもしれませんね。

そして忘れてならないのは、”未来のビジョンを話し” 続ける情熱です。目的地を示し続けるのはリーダーしかいません。
※追記 11/20 意思統一をする方法について、新生説明会を開くなど、”僕の仕事の大半は午後10時までは話す事”、とコネクト!オン8月号より

プロデューサーレターLIVEは4回目を数えました。単に効率だけを考えれば、労力が大きくてリターンが少ないイベントを何度も行なわず、レター発行だけで済ます事を考える筈です。それをしないということは、直接語りたいという情熱や、サービス精神のなせる技なのではないか、と私は感じています。

以上の事を要約すると、「新生が楽しみ」 です(笑)。




■蛇足
この講座をもっと深く理解したいという向きには、「戦略の階層 (奥山真司)」 という物差しをもって読み進めることをお奨めしたいと思います。

ちなみに、「大戦略」 の中には、脅威の分析、予算配分、人間関係、兵站 (後方、ロジスティックス)、資源をどう使うか、勝敗よりも勝った後に長期にわたって相手に対して優位に立つ方法を決める、などが対象となります。これは講座でいう、”調査をする”、”戦略を立てる”、”設計する” に該当します。

講座で語られているのは、「政策」レベルのビジョンを「技術」レベルへ落とし込むやり方を語っています。