馬鹿と薬は使いようという事が有る。

江戸時代は、毒薬として銘打たなければ、販売可能です。

大体の薬が万能薬として販売されている

浮世風呂の作者・式亭三馬の避妊薬のCMがある。

いかほど久しき不順も治らぬ事無し。しげく子を産む人

この薬の用いようで何年も懐妊せず

これは、「天女丸」という薬の宣伝文句である。

男性が使う避妊具は無い

江戸の避妊薬『朔日丸』を掲げた看板 | History guide

この他にも、毎月1日に薬を飲むと、

その月は大丈夫という薬が僅か100文で売られた。

朔日丸である。

 中条流 中絶専門の医者です

避妊薬というのは無く、和紙を中に詰め込んでおけば

好いとされていた時代ですから、当然、妊娠の機会は多いです。

中絶の場合は、中条流に行くか或いは、中絶薬を飲むようになりました。

流産薬が江戸市中で公然と売られてました。

金1分だったようです。2万円くらいですか。

しかし、この子下ろし薬は、母子共に非常に死亡率が高かったようで

多く事件が有ります。

 口に御簾紙を咥えてお床入り
 

遊郭では、客が始めて行くのを初会と云い、次が裏を返すといい

3回目が馴染という関係になる。

この頃になると、客の名前や家紋を描いた

専用の箸が用意される。

主の手で 御箸紙と 書きなんし

 

「なんし」など吉原独特の言葉です

見世によって言葉も違います。

吉原ですと、(ありんす)言葉ですが、これは地方出身者が

多い為に造られた言葉です。

しかし、吉原の見世が皆同じではありません。

 

例えば、大見世の「松葉屋」では、語尾に「おす」を付けます。

「ようござります」を「ようおす」とか、「じれっとうござります」を

「じれっとす」とか、又、松葉屋と並ぶ大見世の丁字屋では、

ざんす」を使い、扇屋は「だんす」、「中萬字屋」は「まし」を使った。

 

従って、話す言葉を聞けば、何処かは分かった訳です。

映画・芝居では、花魁は「わちき」といいます。

本当は「わっち」です。

この言葉は、男言葉で町奴などが使う「六方言葉」です。

男っぽい言葉を美人が使う事によって、色気を感じさせるのです。

 

中には、商家の下男下女の事件もあります。

現代では、恋愛は自由ですが江戸時代は、奉公人の恋愛は

御法度で厳しく制限されていました。

主人の使用人として自由を制限されていて、奉公人の自由は有りません。

従って、金が無い下男などは手軽な岡場所に行って処理していた。

 

中には、下女と下男の恋愛も発生しました。

白木屋や越後屋もそうですが、手代と云われる層は幹部候補生で

伊勢や近江などで現地採用して連れてきて奉公させました。

それに対して下男などは。越後から出稼ぎできている層が普通でした。

 

手代も恋愛には不自由でしたが、下男はもっと大変で、

農家の2,3男の男であったようです。

 

この事件は、下男が下女を妊娠させてしまい、

それが主人に知られれことを恐れて、子下ろし薬を買ってき

て飲ませたところ亡くなったという事件でした。

 

これに下された刑は死罪でした。

「この者儀、奉公人の身として朋輩女と密通し、

殊に売薬を用い傷産させ殺し候段、重々不行き届き故、右の者死罪」

 

江戸時代の判決文には判りやすいものが有ります。

「不行き届き」という言葉は重罪・死罪に当るもので、

軽い罪ですと「不埒ながら」という言葉が出てきます。

 

以前、テレビで「桃太郎侍」がありました。

ここで最後に、「不埒な悪行三昧」といい悪党を退治するのですが、

不埒ですと罪は軽いのになと思い見ていました。

 

もう一つ余計な事ですが、江戸時代は、人妻は結婚すると

歯を染める、いわゆるお歯黒をしたが、映画テレビで、そうした

女性というのは見た事ないですね。

染めると落すのが面倒だからでしょうか?

 

奉公人の身分で主人に断りもなく同僚と関係したことが問題となり。

売薬を用いて流産させ死んでしまったことが不行き届きなのである。

女が死んだのは男の責任であり「殺し候段」という表現になる。

何れにしろこのクラスの男女の恋愛というのは簡単には行かなかった。