落語の中の言葉104「口入屋」: 落語と江戸

最も多くの女性が就いたのが奉公先で下働きをする

「下女」と呼ばれる仕事でした。江戸の町には武家屋敷や大

店が集まっていたため、下働きの需要はかなりありました。

その仕事の内容が炊事・掃除・主人の使いなど

専門知識は必要とされなかったことから、

多くの女性たちが就くことが出来ました。

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下女として働くためには、まず「口入屋」という斡旋業者のもとに行き、

奉公先を紹介してもらいます。

その他にも口入屋は人材確保のために、地方から出てくる人を

いち早くキャッチするために4つの街道の出入り口に出張して

有望な人材を捕まえようと努力します

当時の平均身長は140センチ台ですから、もし、170センチを

見つけるとスカウトです

有力なのは乗物を担ぐ陸尺です。

やはり大男が揃ったほうが見栄えが良いです。

 

女性たちは口入屋から紹介された家に行き労働条件を確認して、

一日その家での仕事を体験します。

その際に彼女たちが必ずしたのが食事を試食すること。

重要な事ですね。

飯が不味いのでは楽しみがありません。

 

別に特別食ではなく、普段食べている食事です。

商家の食事というのは、ケチが普通ですから、

決して良いとは思えないが、家では、かて飯とか麦とか

コメ以外の雑食を食べてる訳ですから、

禄なオカズでなくとも白い飯を食べられるだけでも、

もう満足です。

白い飯を食べるのが目的であることも珍しくない。

憧れです。

 

大体大店の食事などは、貧しいもので、

2,3年前に漬けた古い漬物と汁と白飯で、

目出度い日には魚など出ます。

それでも、米の飯など食べたことのない農村では

飯だけでもごちそうです。

「ハレの日」祭日になると、やっとうどんが御馳走で

出るくらいですから、飯と漬物でも美味しいです。

だから、米ばかり食って「江戸患い」(脚気)になる

 

 

奉公人が適してるかどうかを見極めて決める。

[ご指南を受けましたら、と飯につき

飯を食いながら考えるのです。

主人や家族や同僚たち、仕事が辛いかなどを

それで世話になるかを決める。

 

採用ならば、翌朝再び来て雇われる。

請状を取り交わします。

 

奉公人は3月4日からの1年契約である。

若し働きが良いとか、人柄が良いとかで来年も

雇用してるのを「重年」という。

再契約である。

 

大体、相場として1分給与が上がる。

4分1両ですから、2万円前後。

ただ、他に小遣いなどもたまにあるでしょうし、

何しろ、衣食住付です。

贅沢しなければ金も溜まります。