目で見て解かる時代小説用語

これに対して呉服店の台所衆の退職金の場合は、

20年以上でも青梅縞1反、もっと少ない場合は10匁台ですから、

やはり、表の販売に勤務する人とは大分違います。

 

ちなみに白木屋呉服店は入社すると、

台所部門と販売部門に分けられ、

その後入替は有りません。

女性は一人もいません。

台所仕事、炊事、洗濯すべて男だけです。

やはり女性が入ると色恋が発生するので敬遠されたのでしょう

当時は奉公人同士の恋愛は厳禁であり、

物わかりの良い主人であれば許されたでしょうが、

大きな屋敷ですとそれも無理なようです

越後屋店内
メタボンのブログ

この辺の暖簾分けは、厳密であり、

少し本店と違う暖簾を渡される。

役員クラスで終わった方は同じ暖簾を渡されます。

 

越後屋ですと、無事に定年を迎えることを

「首尾能暇」(しゅびよくいとま)といい、

自分の店を持てます。長年の夢であったでしょう。

その際、暖簾も許されます。

 

但し、身分によって異なります。

番頭クラスには「越後屋」の屋号と丸の越の字の暖簾。

役職者には、本店と同じ「丸に井桁三の字」の暖簾と屋号を許した。

 

暖簾を貰うという事は、店の傘下に入るという事であり、

営業職種や品目なども店の許可を必要とした。

その代わりに、「丸に井桁」に対する大きな世間の

社会的信用も得るのである。

 

商人は、表だった方法で身分の差を示す事は出来ないので

着物の生地の質によって表しました。

 

「丁稚」「手代」「番頭」「旦那」と呼ばれるにつれて、

着物の質を「木綿」「紬」「何種類かの絹」を

使い分けることにより、更に、役職により

「越後縮緬」「本結城」「本八丈」など、

生地の産地で以って差別化したのです。