女中奉公の斡旋は人宿ともいわれるが口入屋が紹介する。

手数料も発生します。

給金の3%くらいで、家によっては3分の2を奉公先で負担し

残りを女中を負担してる所もある。

 

口入宿もそのかわり保証人となり万一の時の責任を負う。

奉公先へ奉公人請状を提出する。

その内容は、身元、前借金、給金、奉公期間が記され

途中で辞める場合は、弁償金を支払う、返金するか、

代人を出すかなどが明記されていた。

 

ちなみに本人からの退職理由としては

1、病気、妊娠、2母などの介護、3嫁入りであった。

 

それに対して雇い主からの解雇理由は

1不勤め、2不埒(盗み、男関係、仲間との喧嘩、癇癪

            いじめ)などだった。

他には病気でした。

 

クラスが中くらいの家の女性の場合の実例がある。

富農の娘で、今の東京都の立川市柴崎町に住んでた娘

年番名主の屋敷に

天保15年(1844)2月農家の女性、名がきんが下女奉公します。

すると4月になると、女性が何故かはてなマーク不快(産気)の為に休み、

翌日からまた仕事を始めた。

そして、9月になると、お腹が目立ってきたので宿下がりさせます。

「下女妊娠につき掛け合い、かたがた宿下がりさせ致し候事。」

 

ここで雇用主である主人は、相手探しをします。

この場合、どうするかは、裁判の先例があり、

「下男下女の密通主人へ引き渡し遣わす」で

雇用主に決定権がある。

 

9月29日 下女がごく内輪で婚姻をし、朝から職場復帰する。

10月30日出産まじかなのできんを家に帰す。

11月1日、きん無事出産

 

結局、この事例は主人が徳が有ったのでしょう。

上手く話を纏めて、女性は出産し相手と結婚できました。

但し、「奉公人請状」により

出産から3週間は女性の母が下女として働き、その後出産した

女性が復帰し働き出した

日雇いで働いた訳です。

交代した母は赤子の保育をした

これも、契約書にある事なので、珍しい事ではない。

 

別の例もある

嘉永元年(1848)鈴木家下女うたは、同村の伊右衛門の倅の

万吉と恋愛し妊娠、うたは実家に戻り、堕胎。

責任者である名主の鈴木平九郎は、同家出入りの馬方に

間に入らせて仲裁させ、縁談を進めさせて両家の内諾を得る。

翌年には下男下女が全員交代とあるのでうたは結婚したようである。

 

堕胎するケースも多かったようで、それが全て雇い主が決めている。

いずれにしても結婚・出産・堕胎は雇い主が決めるということです。

 

婚礼道具に関しては、一般的には荷物送りは

式当日の1,2日前までに済ませて、受け取る婿側は

荷物目録を作成する。

これは、若し離婚となった場合に、嫁の物であるとして

きちんと返却しなければならないからです

 

他に当日に手許の品を入れて運ぶ小箪笥や鋏箱、

鋏箱には、舅姑夫、家族への土産を入れる。

又、小箪笥には部屋見舞いの祝儀に用いる半紙、

和紙入れ、覚書帖を入れる。

 

部屋見舞いとは、コトバンクによると。

 婚礼の翌日、または数日後に、親族の婦人が酒や菓子などの

祝い物を持って新婦を見舞うこと。また、その時の贈り物。

 

最後の覚書帳は入用の金額を記すもので大変重要なもの。

部屋見舞いの返礼として銭や品物をきちんと記帳しておくと

婿一家、縁家、友人知己らの軽重を知るメモとなる。

ここでもう嫁としての仕事になる。

 

上級花嫁の婚礼道具は下記のようである

盛儀用の衣類として、四季の衣装、地白、地紅、地黒の小袖。

白無垢(小袖の内着)、黄無垢、

夏用として上質な麻布で作る帷子類にも上質な同様な色や

内着を作ってる。

 

江戸時代の結婚適齢期といえば、16から18歳くらいで

それを過ぎると年増扱いとなり、余り良い条件の

話は無かったという。

 

上記の女給階級の娘の嫁入り道具を見ると、この先

10年、20年或いはもっと長く一生分の衣装を誂えたようにも感じる。

盛儀用であるとか準礼装、外出用、日常用の表着から

浴衣まで結婚葬祭と四季のものまで全てを示してる。

 

ただ、考え方を変えると20代から40代、若しくは死ぬまで

着ることが可能です。

当時は年をとると年にあった色味に着物を変えるが、

着物は染め直しが出来るので、娘時は朱だったが、年を

経過するまでに、色をくすんだ赤とか茶に変える。

 

ですから婚礼用に作った赤の振袖も、最初は儀礼用から

準礼装、外出用と落とせる。

晴れ着などの生地は絹の柔らかものが主ですから、

娘の振袖に変えたり、羽織ように色を染め直し、

仕立て直せる。

呉服は息が長く長く使うことが可能です。

 

木綿物は更に息が長い。

着物、羽織、綿入れ、敷き布団、生地の補修、風呂敷にもなる。

浴衣ならふるくなれば「おしめ」にもなる。