武家の間でも持参金を使い果たしていて返せず、

何年間の分割払いにしているケースもままある。

従って、これを逆手にとって居座る事も多く、

出せるものなら出してみろ。といった具合にである。

 

「去る時は 90両で すまぬなり」

仲人に10両払ってるので100両必要なのです。

「持参金 さあ出されれば 出してみな」

 

目出度く質素ですが皆に祝われた婚礼も終わり楽しい結婚生活?を

営んでいく筈でしたが、どうも上手くいかなかったようです

12月に結婚し1月に里開き(里帰りは、帰るという言葉が

忌まれてたので「開き」とした。

この時は、未だなんでも無かったようですが、3月になると病気になり、

お見舞いに行った祖母が尋常ではない孫娘を見て驚き、

そして、夫婦の仲が極度に悪くもなっていたので

一旦家に帰したほうが良いと判断し、

「亡き母の母がどうしても同伴して外に出たいという、

訳の分からない理由を作り、帰るのを渋る相手先を説得し

帰らせることに成功した。

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新婚間もない夫婦の破局の原因はというと、祖父の日記では、

「陰門の儀、何よりも嫌の由」つまり夫を受け入れることが

嫌でしょうがなかった。

性行為を拒否してたのです。

 

娘から事情を聴いた親たちは途方に暮れたようですが、

一旦娘を婚家に戻すことを決め、その代わり母を同伴させ

次のような口上を述べさせた。

「娘がどうしても陰事がどうしても嫌と申しております。

つきましては、この上は娘を離縁なさるも勝手次第、

それとも妻として置いたまま別に妾を抱えるといってもそれもご自由に」

これを聞いた婚家ではもう匙を投げた状態であったらしく

離縁の話へと進んで行ったようです。

離婚となりましたが「女三界に家なし」とよく言われますが、

決してそんなことは無く、男も女も次の結婚へと進んで行くのが

当たり前でした。

 

ブログでしばしば登場する井関夫人も20歳くらいで離縁となり、

再婚し子を生さなかったが夫の死後もそのまま婚家に残り

義理の息子たちに大事にされ60歳の生涯を終えました。